エピローグ

若い日の午後の夢

「初めて二人で岩手に行ったときのこと、憶えてるよね」

「もちろん。あのときの海も、こんな感じだったよね」

「うんうん。あれって結構、大胆だったと思わない?」

「ほんとにね」

「ま、若気の至りってやつだよね。あのときは焦ってたのかも」

「ちょっと、老けたようなこと言わないでよ」

「でも老けたのは事実」

「なぎとは違って、私はまだまだ若者ですぅ」

「じゃあ来年にはみおもおばさんになるってことね」

「ふん」

「そういえば、昨日の夜、柚希から連絡来てたんだ」

「へぇ、懐かしい名前」

「ほんと、久しぶりだったからびっくりしたけど」

「なんて言ってた?」

「なんかね、今は札幌にいるらしいよ」

「ふーん」

「久しぶりに会いたいね」

「札幌ならさ、帰り道に寄れるんじゃない?」

「たしかに。じゃあ、連絡しとこう。お土産も買ってかないとね」

「うん。よし、そろそろ行こうか」

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訳あり少女のネガフィルム 枯木 @koboku

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