屁理屈

僕は渋々とドアを開けた。少しだけ笑っていた紫苑がいた。何を考えているかさっぱり分からないので怖かった。

「どうした。部屋に入れない。帰ってくれ。」

「どうしよっかな。ねえどこか行かない。いまから。」

「なんで今さらもう関係は終わっているだろうが。それじゃあ。」

ドアを閉めようとすると手を触られて訴えかけてきた。

「じゃあなんでドア開けたの。普通だったら無視するよね。そうしなかった理由は何。」

「雨の中悪いなと思ったからだよ。ただそれだけ。」

反論が来ないようにこれで終わるように余計な事を言わない事で終わると思っていた。

「じゃあそれがどっかの訪問販売でも通じる言い訳なの。違うよね。もしかしたらどっかで会いたがってたんじゃない。」

お得意の屁理屈は健在だった。何も言い返せないと口は止まることを知らなかった。

「何かまずいことでもあるの。例えばもうだれかいるとか。それだったらさすがにまずいから手を引くけれども。私はいないよそいう言った人。」

素直に横に振ったのがまずかったと思った時には満面の笑みに変わっていた。

「部屋にあげてくれないならどこかに行ってもいいよね。」

そう言って屁理屈だっけで約束を取り付けられてしまっていた。

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