過去の糸
楓 紅葉
押し込んだ記憶
壁に掛けてある時計が狂いだしてそして今止まった。なんでか嫌な予感が背中を襲っていた。今日は一日雨が止むことはなかった。それは昔の記憶がかすかによみがえりそうで嫌だった。気を紛らわせるためにスマホでゲームをやっていた。すると通知の音と一緒に数秒だけ時間が止まっていた。
「久しぶり。元気していた。ちょっとだけ話したいからさ。いまからそっち行くね。」
一年前突き放した紫苑からの連絡で会った。今は勿論会う事はないと思っていた。なんで話したいことがあるのだろうか。何を考えているか分からないために怖いという感情が頭をよぎった。なんで連絡先を消していかなかったのだろう。と考えていると記憶の棚に力いっぱいしまい込んだ黒い記憶が引っ張り出されていく。確か罪悪感があったからである。渋々と通知を開いた。
「なんで話したいことがあるの。もうなんもないよ。」
「そうしたいのは湊人だけじゃん。私は色々と話したいし会いたいの良いでしょ。」
平行線の会話をしていると玄関のインターホンが鳴ってしまっていた。
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