スパーカラーズキス
葛籠澄乃
全1話
線香花火の先同士をくっつけた。大人同士ならタバコの火を分け与えるシガーキス。線香花火の火を分け与えるなら、どんなキスがいいだろう。そんなことを考えつつ、一夏の終わりに、“ ジュッ ”と静かに響くのはどこかエロチックでもあった。
火薬が燃える匂い。遠くで夏祭りの終わりを告げる人々の喧騒感。わたしの乱れた髪の毛。あなたの火を少しでも長く持たせようとする落ち着いた息遣い。
来年も、こうして先っぽ同士でキスしてたいな。
口に出そうとしたけれど、その文字列と響きがなによりも大人びたがるガキを感じて飲み込んだ。
線香花火の先が、ぐーんと一番綺麗に膨らんで、おっこちてった。わたしの恋も落ちたばっかり。でも、こんなにすぐには消えてほしくない。呼吸を潜めつつ、でも情熱的に、ながあく。
ね。
スパーカラーズキス 葛籠澄乃 @yuruo329
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