余命数ヶ月の大病人は……

 余命数ヶ月の大病人は、元気にノコノコと歩いてこない。


 医療機関は、れっきとした営利法人。


 そこで働く人の給料が必要。


 資器材の費用が必要。


 維持費が必要。


 赤字では回らない。


 ちなみに、病院にメニュー表、料金表はおいていない。


 何にいくらかかるかの説明は、積極的になされない。


 勘定を見ても、何にいくらかかったのかがわからない。


 薬でない、食事、その栄養に勝る栄養はないが、医者からもらった食事の処方箋を定食屋に持っていく、などということはない。


 薬の成分も作用機序も薬効も知らないまま、ありがたく受け取るのが一般的。


 薬が法外に高いことは、おおむね三から一割負担になっていることから、気づきにくいが……


 月々の健康保険料は、どうだろう。


 製薬会社の利益率は、どうだろう。


 世には、法外な値段で食事を出す、ぼったくりバーなるものがあるが、比較してみると、面白いかもしれない。


 余命数ヶ月の大病人は、元気にノコノコと歩いてこない、というのは、つまりはそういうこと。

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