第5話 図書館

 どうやらここには成人男性がいないらしい。いても、高齢か結婚指輪をしているのである。

「あの子は何をチラチラ見ているの?」

 不審に思った真名実まなみひかるに尋ねる。

「王子様を探しているんですよ」

 指を立て、朗らかに返す。

「え、女子校なのに?」

「女子校なのに」

 桐花きりかは警戒した。変なやつだと思われただろう。

「見つかるといいね」

 ホッとする。何も考えてないだけかもしれないけど。

 光が真名実をツンツンする。

御所ごせさんなら、どこにいると思います?」

「んー?」あごに人差し指を当て考える。「早朝の図書館?」

「図書館ですって、桐花さま」

 光が軽やかに振り向く。

「そうね。行ってみようかしら」

 光がニンマリしたのを真名実は見逃さなかった。

 何だか、面白そう!



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