第2話 水戸黄門
「The 時代劇」「Mr.時代劇」「King of 時代劇」
「水戸黄門」はそんな存在じゃないかって思っています。時代劇を全く見た事が無いという方も「水戸黄門」を知らないという人はほとんどいないんじゃないでしょうか。それくらい時代劇といえばという作品だと思うのです。
主人公は言わずもがな、水戸黄門です。
常陸水戸藩二代藩主である徳川光圀。「黄門」は光圀の官位である「中納言」の唐名「黄門侍郎」から取っています。
余談ではありますが、この名前の「圀」の字、「国」「國」と同じ漢字ではあるんですが全然見ない字ですよね。
実はこれ則天文字と言って、中国の唐朝の女帝、武則天が作り出した字なんです。中国地域では女性が皇帝として即位したという例は実は一件だけしかありません。日本の皇室ですら八人もいるのに。
その唯一の女帝武則天が自分の業績を後世に残したいと言って、無理やりへんてこな漢字を作り出したんですが、その中の一つがこの「圀」の字だったります。
(国の字は王という字が囲われてて不遜という言いがかりで変更したらしいです)
武則天が亡くなった後、中国地域では一切使われなくなったんですが、どういうわけか千年後の日本には残っていたみたいです。
話を元に戻しますと、その徳川光圀が越後の縮緬問屋の隠居と身分を偽り、お供の助さんこと佐々木助三郎、格さんこと渥美格之進を伴って旅に出るというのが大筋のお話です。
実は助さん、格さんにはちゃんと性格付けがあって、助さんは剣豪でかなり軟派、格さんは格闘家でかなり硬派という設定があります。最初は助さんと格さん、どっちがどっちで混乱すると思いますけど。
印籠を出して「こちらにおわす御方をどなたと心得る!」と威嚇する方が格さん、最後に「頭が高い! 控えおろう!」と恫喝するのが助さんです。
黄門漫遊記という講談がベースにあるのですが、かなり「東海道中膝栗毛」の影響を色濃く残しています。ようは「野次さん喜多さん」の話のオマージュという事ですね。
大まかな話の流れは以下の通り。
黄門様御一行が次の宿場町に向かう
↓
(食い意地のはったうっかり八兵衛が食い過ぎてお腹を壊す)
↓
その宿場の悪代官たちに虐げられている人に遭遇
↓
実態調査開始
↓
(悪代官に接近したお銀の入浴シーン)
↓
黄門様御一行の妨害を受けた悪代官たちが強硬手段に出る
↓
助さん格さん(弥七、お銀たちも、たまに御老公も)が大立ち回り
↓
「控え! 控え! 控えおろう! この紋所が目に入らぬか!」
↓
一件落着、黄門様御一行が次の宿場町に向かう
よくよく考えれば、まともな情報収取の手段が無い時代ですから、代官ごときでは本人を見ても水戸黄門だとはわからないような気がします。
代官ですらそんな体たらくだとしたら、市井の人が水戸の御老公の存在を知っている可能性は限りなく0でしょう。下手したら庄屋さんクラスじゃないと葵の御紋を見せられても、「何それ?」だった可能性すら。
さらに言えば、水戸藩の前の藩主にすぎない黄門様が、他所の藩のやる事に口を挟んでしまったら、そこの藩主の面目が丸つぶれなんじゃないかとも思います。
もっと言うと、当時海路だった熱田、桑名間を普通に歩いて向かってたりするので、歴史考察なんてものはあって無いようなものです。
まあ、それもひっくるめて演劇という事で。
水戸黄門といえばTBSのナショナル劇場。
♪明るいナショナル、明るいナショナル、皆家中、何でもナショナル
という軽快な歌声から始まる時代劇アワーです。
初代のキャスティングは、黄門様が東野英治郎、助さんが杉良太郎、格さんが横内正。
風車の弥七はまだ敵の忍びで、八兵衛も出てきません。
私はこの初代が一番面白い気がしますね。
二代目の黄門様は西村晃。三代目が佐野浅夫、四代目が石坂浩二、五代目が里見浩太朗。
水戸黄門という人は少しやくざな一面を持っている人という印象がありますので、強面の東野英治郎はまさに適役という感じがします。
西村晃は少し物腰が柔らかで好々爺すぎる印象、佐野浅夫は偉ぶった喋り方が鼻に付く印象、石坂浩二は若作り過ぎてご隠居感0、里見浩太朗はただただ偉そうという印象を私は受けました。
長距離旅してる爺さんという設定なのに里見浩太朗のあの恰幅の良さはどうなんでしょうね。
今なら、堺正章、柄本明なんて辺りが適役なんじゃないかって思います。武田鉄矢は……及第点って感じでしたね。
余談ですが、生類憐みの令が出された時、光圀は綱吉からの呼び出しに登城拒否したらしいんです。綱吉は少し潔癖なところがあって、城内で血が流れる事を極端に嫌っていたらしいんです。(それが後に忠臣蔵の話になってくるんですが)
そこで光圀が拒否した言い訳が「酷い切れ痔なので、上様の前で切れて出血したら一大事」というものだったとか。
次回ですが、これも王道中の王道、「暴れん坊将軍」を取り上げようと思っています。
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