時代劇への誘い
浜名浅吏
第1話 時代劇を見よう
皆さん、時代劇って見ますか?
最近地上波では全然やりませんから、なかなか見る機会は無いでしょうか。
逆にYoutubeの東映時代劇チャンネルで見る機会ができたなんて方ももしかしたらいるかもしれませんね。
時代劇というのは一時間枠で繰り広げられる、江戸時代を舞台にした人情劇の事です。
江戸時代なわけですから、もちろん皆さん日本髪に丁髷、呉服にふんどし、腰には大小の刀。
場所はお江戸である事が多いですけど、そうじゃない作品もあります。
そんな時代劇を何回かにわけて、絵画でも紹介するように、作品の背景なんかとともに紹介していこうというのが今回のコンセプトです。
時代劇は文字通り「劇」です。演劇です。
演劇ですから、そのように見える事が重要で、リアルを基本追求してはいません。
小学生のえなりをピン子がガチビンタするのを流すというような事はしません。
刀で斬らても斬られたふりだけして、その場によろよろと倒れるだけ。血も流れなければ、着ている物すら切れていません。でも斬った側は血振り(刀を振って血を落とす)の仕草だけはします。
こういう点だけ見てもドラマよりも演劇に近いというのがわかると思います。
演劇なのでいくつかの暗黙のお約束というものがあります。
「一話完結」
初回や最終回のみ前後編だったりという事はありますが、基本は一話で完結しています。
番組録画の方法に乏しかった時代からやっていますから、一話見逃したら付いて行けないというような事が無いように、このようになっているんだそうです。
「毎回決まったパターン」
小さな変則はあるものの大筋の流れというものは決まっています。ですので、どこの話を見ても基本は同じ話です。
これがまさしくドラマではなく演劇といえる要素じゃないかって思います。
これをマンネリとみるか、予定調和ととるか、それは人それぞれでしょう。
「勧善懲悪」
主人公は絶対善、悪側は絶対悪です。悪側に凝った目的なんてものは存在しません。悪事の目的は基本たった一つ「金が欲しい」これに尽きます。
今だったら、その集めたお金で実はこっそり治水工事をしていたとか、実は身内に不治の病に冒されている幼女がいてなんて事もあるでしょう。
でも彼らにそんな清らかな心はありません。ただただ「私腹を肥やしたい!」という爽やかなまでの欲望によって悪事を働いています。
そしてその飽くなき欲望のために周囲が不幸になるというパターンがほぼ全てです。
「いつも同じような顔」
主人公側だけじゃなく、悪人側もいつも同じような人が演じています。
これは見る側がこの人が悪い人なんだとすぐにわかるようにという配慮だと聞いた事があります。
決して出演契約の都合とかではないという事らしいです。
このように、演劇であるがゆえに、見る側のツッコミ欲が刺激されるというような事が多々あります。
その欲をぐっと我慢するか、もしくはもういっその事ギャグだと思って割り切ってしまうか、そういう態度が見る側に求められます。
一部例を出してみましょう。
・雨が降っているのになぜか地面が濡れていない、なんなら演者も濡れてない、もしくは演者の頭だけが濡れてて服は濡れてない
・夜の町がめっちゃ明るい、屋根裏もめっちゃ明るい
・日本全国標準語、なのになぜか上方だけは関西弁
・用心棒がくっそ弱い、しかも雇い主への忠誠心が篤すぎる
・この頃の風呂は今でいうサウナでは?
・やたらと怪しい虚無僧が出てくる
・主人公が身分を偽るために平気で嘘をついて周囲を騙している
・懐から出てくるレボルバー式拳銃
・忍者の風体がド派手
・職務権限無視しがち
・やたらお家が断絶する
とまあ挙げていけばキリは無いのでこの辺にしておきますが、ツッコミ欲の強い人でしたら一話見終えたら疲れ果てるくらい、ツッコミ所は満載です。
それを踏まえて、究極のマンネリを楽しもうというのが時代劇なんです。
という事で次回からいよいよ時代劇を紹介していく事にするのですが、初回は「The 時代劇」ともいうべき「水戸黄門」を取り上げようと思います。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます