🦍油売りゴリラVS森守りゴリラ🦍

加賀倉 創作【FÅ¢(¡<i)TΛ§】

コンナノ、懲リ懲リラ!

 ——赤道ギニアにて。



 皆、アブラヤシのプランテーションでの強制労働を強いられている。俺もそうだ。レイチェル母さんも、シマサク父さんもそうだ。つまり俺たち家族は……リアム兄さん以外は、そうだ。

 熱帯雨林を切り倒す、燃やす。そしてアブラヤシの栽培と収穫。俺たちは、この不本意な破活動に従事することを余儀よぎなくされている。

 俺たち部族のほんの一部は、裏切って、の側についた。俺たちはそんな裏切り者のことを、油売りと呼んでいる。全く、なに油を売ってやがるんだ。俺たちの本分は、森を愛し、森を守ることだろう? 俺たちは、生まれた時から、死ぬまで、ずっと、森守もりまもりゴリラであるはず、なのにな。


 あ。


 お察しの方いましたら、Ωオメガ高いが……


 俺は、ゴリラ。

 ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ。

 というのは単なる学名で、俺じたいの名前は、カエゴリラ。

 カエじゃあないぜ?

 まぁ実を言うと、どこぞやのサルの惑星の英雄みたく、支配者への抵Ω抗オメガを企んでいたりもする。

 白い奴ニンゲンに気づかれないようにこっそりと、ニシローランドゴリラ解放戦線——〈抵Ωオメガ〉を結成したことだしな。


 ところで、ニンゲン様よ、油モンってのはいいらしいな。

 というのも先日……


 不本意ながらではあるがいつものように、アブラヤシをせっせと切りまくっている時に、俺たちの働きぶりを偉そうに監視してやがった白い奴ニンゲンとカウチポテト族(裏切り者の油売りゴリラのことだ!)の会話を盗み聞きしたんだ。

 何でも、こんな暑い時には、冷凍植物油脂ラクトアイスってのが欠かせないらしい。

 気になった俺は、カウチポテト族の豪華絢爛な邸宅(白い奴ニンゲンから与えられた中古物件のことだ!)に忍び込み、冷凍庫から激甘冷凍植物油脂ラクトアイスを一つ、くすねてやった。

 それは、妙な形をしていたよ。

 白い巻き貝と、逆さ円錐えんすいの合成物。

 キンキンの冷気を放つ、それを、ひとかじり……

 なるほど、こりゃ美味い。

 気づけば俺のけむくじゃらの手は、二つ目に、伸びていた。

 食欲が、止まらなかったよ。

 これが中毒ってやつなんだと、生まれて初めて実感したよ。

 確かに、美味いな、あれは。


 ところがどっこい……


 腹が痛い。

 その夜、俺の自慢のケツ毛は、下痢便まみれになった。

 体内の油分のバランスが急激に崩れた感じもした。

 調べたら、油にも色々あるらしいな。

 体内で作れる油、外から摂取する必要のある油、オメガ3やら、オメガ6やら、オメガ9やら……


 ソルフェジオ周波数かよっ!


 まぁ要はあれだ、ニンゲン様は植物油脂の類を過剰摂取しがちだから、あんたらも気をつけた方がいい。

 これは俺たちゴリラからの、助言だ。

 敵の仲間に助言をするのもおかしな話だが、あんたらニンゲン様の大多数は、ある意味で被害者だと、理解している。

 真に悪質なのは、俺たちゴリラの体毛よりもドス黒い悪意を持った、既得権益層の、だからな。


 ってな具合で、本当はあんたらに油ではなく、良塩を贈りたいくらいだが……

 とにかく健康には、気をつけろよ。


 じゃあ、そろそろ……


 『油売りゴリラVS森守りゴリラ』、始まるぜ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る