第2話
彼は、あの女がとても大事にしていた、あの女の弟だった。
「…ねぇ、なっちゃん。なんでこんな女にしたの?」
あの女は指ですらなく、顎で私をさすと、彼…凪君(なぎくん)にそう聞いた。
「お姉ちゃん!なんてこと言うの!俺の大事な彼女だよ!?」
凪君は優しくて心の綺麗な子だから、そう返してくれる事はわかっていた。
彼女の返しも。
「だってどっからどう見ても整形じゃん。」
ご名答。
あんたに気付かれないために顔を変えたからね。
おかげでこうやってバレてないんだからすごいよね最近の医療は。
整形を鼻で否定するような、無駄に顔が整っているあんたには分からないんだろうけど、整形だって努力なんだよ。
どれだけのお金と時間が必要で、どれだけの痛みと闘ったか分からないだろうけど、整形は簡単なものではない。
「お姉ちゃんなら祝福してくれると思ったのに!もう二度と俺の彼女と会わせないからな!」
凪君は顔を真っ赤にして怒ると私の手をとって
「行こう!」
と、家を飛び出した。
今日は″家族と会ってほしい″と言われ凪君の家に行った日だった。
あの女と凪君は2人で暮らしている。
元々、母親がいなくて父親と三人暮らしだったけど、父親は何かをして捕まったらしい。
どうでもいいから何をしたのか調べてないけど凪君は父親のことを″最低な人間″と言っていたから、悪い人なんだろう。
「ごめんね。お姉ちゃん、本当はすごく優しいんだけど、昔色々あってね、あんなキツい性格になっちゃったんだ。傷つけて本当にごめんね。二度と会わなくていいからね。」
心から申し訳なさそうに凪君は謝った。
あなたには、優しいんだろうね。
私には悪魔だったよ。
「大丈夫大丈夫!私よく整形顔って言われるんだよね!凪君は私が本当に整形してたら嫌?」
首を傾げて不安そうに聞いてみたら凪君は慌てて首を横に振って否定してくれた。
「そりゃ、びっくりはするだろうけど、嫌じゃないよ!あっでも、美奈子ちゃんはとっても綺麗だからこのままでいいからね!?もしかして整形したいの?」
「うーん、私ほら、胸がないし貧相な体でしょう?胸とお尻を大きくしたいなとは思ってるよ」
「しなくていいよ!そのままの美奈子ちゃんが好きなんだってば!それに整形って痛いってテレビで言ってたの観たよ!?痛い思いはしてほしくないよ!」
どこまでも私のことを心配して言ってくれるのね。
あなたの優しいお姉さんは、私を″骸骨″だとか″患者″とか呼んでたけどね。
あなたは優しいね。
虫唾が走るほどに。
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