ひとりぼっち。
@mothirinngo
ある女の子
静かな空間にトンッという音が響いた。
『喉が痛い』
私はそんなことを思いながら、口につけていたマグカップを机に置く。
部屋に1人だと自分のたてた音がやけに目立って聞こえる。体調が悪いからか、尚更自分の出した音がよく聞こえる。
『怖い。』
そう思った。私は1ヶ月ほど前まで付き合っていた人がいた。1週間と4日という短い期間だったが。その人は付き合う前から相談に乗ってくれ、話し相手になってくれていた。誰かに依存することしかできない私の心を満たすには充分だった。ただ、今ではそんな縋る人さえいない。体調が悪くなると私は人に縋りたくなる。
「大丈夫だよ」と声をかけてもらいたいだけ。「辛いね」と頭を撫でてもらいたいだけなのに。
でも今の私にはそんな人はいない。
『怖い。』『寂しい。』『もうむりだよ。』『たすけて。』
誰かに助けを求めても無駄なのはわかっている。それでも誰かに縋ることしかできない私は助けを求めてしまうのだ。
自分1人しかいないこの静かな空間で私は涙を流しながら、風邪が早く治るように薬をたくさん口に入れカッターナイフを握った。
ひとりぼっち。 @mothirinngo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます