記憶の理想郷

緋月行人

第1話

 男は見渡す限り白い空間にいた。


 男は言うこれで彼女に会える。どんなにあの日々が懐かしかったのか。男は今になって後悔する。


 目の前にある無骨な扉を開き男は外に出る。


「待っててくれ奈那」


 男は呟き1歩前に踏み出す。そこは、小さい時に初めて彼女に会った朽ち始めた神社の前だった。


「懐かしいなここでかくれんぼとかしてたな」


 男は1人感傷に浸りながら呟く。


「そういえばあの木の下にタイムカプセルを埋めたな、まだあるかな?」


 男は木の下に行く。そこは何かで掘り返された跡があり中には何も無かった。


「やっぱり無いか、まあ分かってたからそこまでショックはなかったな」


 男はそのまま鳥居の方に歩いて行く。


「次は……に行くか」


 と言って階段を下りていく。

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