第3話

 

 …”アンタは? 綽名がスイカちゃんだって? 西瓜が好きなのか? それともスイカ頭かい? 水頭症とか? アハハ、嘘嘘、失礼。 別嬪さんやねえ。 娘の子供のころみたいやな”


「話しかけてきた! 私が見えるんだわ!」 私はおぞけをふるっていましたが、一応恐る恐る、返事をしてみました。 あんまり悪辣? そういうニュアンスはないし、事情があるのかも?

 「ええ? …スイカちゃん、ってのは、太田メロンて言う名前が、「ウォーターメロン」にも聞こえるからよ。 別に水筒ナントカじゃなくて」

 「しゃれが古いんだよ。 おやじギャグだね。 うはは」


「何か御用ですか? …おじいさんが取りついたままだと、アタシは生きられないじゃない? 普通に二重人格のほうがマシよね! すみませんけど、出て行ってもらえますか?それにアタシ、おやじギャグも、言う人も嫌いですから」


 「ごめんごめん。 じゃあ、出ていくけど、最後に「おじいさん、スイカは甘かったですか?」って聞いてくれるかい?」


 「?」 アタシはちんぷんかんぷんで、ですが、さっさと出て行ってもらって、茶番をお終わらせたいので、しょうがなしに言いました。

 「スイカ甘かった? おじいさん?」

 と、私は訊いた。

 (これで、グランパ、グランバザ-ル、グランドフィナーレ!)、と内心で罵りながら。


 「酸いかったら、食わんよ」 (スイカったら食わんよ)


 おじいさんは照れながら、虚空に消えていきました。…


<続く>

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