毎晩0時だけに咲く、誰にも見えない花を見に来る少年と少女の話

たなか

第1話

今宵は0時。僕は今日もあの場所へ行って、あの不思議な花を見に行くんだ。何故か0時になると咲く綺麗な花。この田舎には都会のような物が何一つない。近くにあるのは畑だけ。子供の僕にはひとつも面白く感じられない。爺ちゃんは田んぼもよく観察すれば深いんだぞと言うんだけど、僕にはまだちょっと難しい。

だから、いつも僕は面白い物を探しに散歩へ行く。そこで見つけたのがこの花だ。この花は少し大きくて、赤くて、白くて、なんだろう。左右に色が別れてて面白いんだ。しかも0時にならないと咲かない。不思議な花だよね。でも綺麗で見たら心が穏やかになる気がするんだ。だから今日も見に来た。眺めてると後ろから女の子らしき人が来た。


「ねぇ、僕。その花、綺麗だよね。

お姉さんも好きなんだその花。」


いきなり話しけられてびっくりした。


「は、はい!綺麗ですよね。僕もこの花好きです。」


「いいねぇ。花が綺麗って思えるならきっと君は心が綺麗だね。」


「ありがとうございます。お姉さんもいつもここに見に来てるんですか?」


僕は普段なら他人とあまり話さないがなんだか気になって聞いてしまった。


「お姉さんはね、嫌なことあったら見に来てるかな。世の中色んな人が居てさ、この花と一緒で。

この花も1つなのに2色でしょ。

人間と同じ。裏表があって、でもどこか綺麗な所がある。て、僕にはまだ難しいか。」


お姉さんはそう微笑んで言った。

なんだか難しいことを言ってるけど、お姉さんも何か悩んでるだなと思った。


「僕には、まだ難しいです。

でも勉強になりそう。」


お姉さんはまた、

にこりと微笑んだ。


僕はこの表情を一生忘れないだろう。

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毎晩0時だけに咲く、誰にも見えない花を見に来る少年と少女の話 たなか @kanata205108

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