第24話 他人の不幸が見たいなら

 もし他人の不幸や苦しんでいる人が見たいなら、今なら鉄板のマンチェスター・ユナイテッドとスコットランドのレンジャースFCがお勧めだ。



 お馴染みマンチェスター・ユナイテッドはとうとう勝率が戦後最悪になったそうで、周囲が一層騒がしくなった。

 監督交代もカウントダウンとかいわれている。


 現時点での候補は、クリスタル・パレスFC現監督のオリバー・グラスナーとAFCボーンマス現監督のアンドニ・イラオラとアメリカ代表の現監督マウリシオ・ポチェッティーノとOBのマイケル・キャリックという噂だ。


 イラオラが新登場でボーンマスを指揮する手腕を評価されて、ということだ。

 グラスナーと同じ理由で、中小チームでアレならより選手の質が高いユナイテッドの監督になったら

もっとやってくれるだろうという希望論だ。


 ポチェッティーノはW杯を前にして乗り換えるとは考え難いので、米サッカー協会に不満でもない限りまず無いだろう。



 普通に考えたら一番安全そうなのはイラオラだ。

彼は”狂人”マルセロ・ビエルサの門下生として知られている。

 

 ビエルサは気難しいワーカホリックとして有名だ。

 名監督ゆえ多数の誘いをうけるが、気に入らない仕事は引き受けないし約束を破られたと感じればすぐに辞める。

 しかしその手腕は本物で、若手選手を厳しく鍛え上げていつの間にか強豪チームを作り上げる。

 彼に育てられた選手は多いが、獲得したタイトルは少ない。柵が多く政治色の強いビッグクラブの話は断るからだ。


 そんなビエルサに強く影響を受けたイラオラは、ユナイテッドの組織や選手の甘えたメンタリティを受け入れることが出来るのだろうか?

 そこが気になる問題ではある。


 

 キャリックはチャンピオンシップ(2部)のミドルスブラFCで監督を務めている。

 プレミア昇格は叶っていないが、元々低迷していたチームを引き上げた手腕は評価されている。

 

 OBが推す理由は、他の監督と違いユナイテッドを知っているからだ。

 でもOBの本音はユナイテッドを理解しているからこその仕事が出来るからではなく、ファーガソンの様に選手達をしばき上げて欲しいのだと思う。

 チームをファーガソン時代の戦士の様な、闘志溢れる選手の集団にしたいからだ。


 そこまでキャリックに期待されてもっていう。


 キャリックは守備時4−2−3−1攻撃時3−2−5の可変システムを使っている。


 ユナイテッドにいきなり可変は難しいかも知れないので、オススメはボランチとSBを1枚づつ上げるシンプル可変だ。

 ボランチにブルーノ・フェルナンデスを使えば、メイソン・マウントとの併用が出来る。

 SBは、マンチェスター・シティからマテウス・ヌネスをレギュラーにするからと言って獲りたい。

 これでもう3−2−5だ、補強も最低限で。どうだろう?

 

 守備は怖い。ミドルスブラの守備は相手に関係なく基本配置に立っているだけだからだ。

 プレミアでこれをしたら、失点し放題だ。


 ということで選手の質ではなくチームの機能性を比べた場合、イラオラの勝ち。

 ボーンマスの方が断然を良いサッカーしている。

 


 スコットランド・グラスゴーでは、ラッセル・マーティン監督に率いられたレンジャースFCが大失態中だ。


 CLプレーオフではベルギーのクラブ・ブルッヘ相手に2戦合計1−9という衝撃の敗戦を喫した。  

 試合後、マーティン監督は今にも泣きそうな表情をしていた。

 リーグ戦も5戦勝ち無し。レンジャースかセルティックFCしか優勝しない歪なリーグであるにも関わらずだ。


 チーム組織の問題も色々あるらしいが、ピッチ上にも問題が多い。

 攻撃はセットプレーとミドルシュート頼みで守備ではミスが多い。

 選手からはあまりやる気が感じられず、怠惰なプレーも目立つ。


 特に酷いのはCBのナセル・ジガ。CBなのにゴール前でしょっちゅうマークを外す、というかしていない。ボールを見てるだけだ。そのくせチームメイトに指示を出したりする。


 唯一好感を持てたのは、MFのモハメド・ディオマンデ。頑張りが目に見えたし、自陣ゴール前ではCBのジガよりきちんと相手をマークしていた。


 選手の個の力で勝つチームが人材不足でやる気も無い。これもうどうするのだろう?


 OBのジェンナーロ・ガットゥーゾの気合いが、此処でも必要とされているのだろうか?

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