第2話

 8月に入ったばかりのぼくの夏休みは、まだほんのちょっとあるんだ。


 夏休みが終わるまでに、宿題は全然やってないけど、山先生から頼まれた夏休みの研究はこれからやろうとしているところだった。研究といっても、自由研究だ。


 けれども、昨日にそうちゃんが、いっていた。この町には、大きくて古い駄菓子屋が一つあるんだ。だから、その駄菓子屋で自由研究を始めようって、そうちゃんがいいだした。


 さて、どうしようかな?

 頭の良いそうちゃんは、何を考えたのかな?

 

 ぼくは、そうちゃんとともちゃんに会うため。駄菓子屋へ向かった。


 真夏の空が広がるじっちゃんのひまわり畑を通って、建物が多い商店街へとたどり着くと、夏の風がTシャツの乾いた匂いを運んできた。匂いを辿っていくと、そうちゃんが駄菓子屋の前でラムネを飲んでいるのを発見。


 言い出しっぺのそうちゃんが、朝早くから来てラムネを飲んでいたのだ。


 そうちゃんの隣に、ともちゃんがいた。しきりにすももの酸っぱい汁を飲んでは、顔をしかめている。


 そうちゃんは、空になったラムネの瓶を屑籠に捨てると、自由研究のことを唐突にいいだそうとした。


 ぼくは、急に不安になって頭がグラグラしてきた。


「この町に移り住んだ。とてつもない奇妙な男を研究しようよ」


 ぼくはそうちゃんの言葉を、別に意外とも思わなかった。

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