ラプンツェル
宝井星居
第1話 プロローグ【現在】
「いいけど、ママも使うからiPad2時間までにしてね」
「え〜💦 150分てあるんですけど!」
「嘘、なんでそんな長いの? ディズニープラスじゃないの」
「ディズニープリンセスに夢中なーんて、ママの育成プランにないっしょ?」
(……だな。プリンセスものじゃなさそう)
ラプンツェル
「あ……」
「危っ」
iPadを落としかけた、いや手から滑り落ちかけたのをユカリがキャッチしてくれた。
「どしたの更年期障害?」
そんな言葉も覚えちゃってるんだ、ネットネイティブだな。
「まだアガル気ありません」
「でした。ママけっこう若く見えるから更年期じゃないね」
見えるってなに💢 けっこうって? 30歳弱しか離れてないのに。ただ十四歳の自分がユカリほどキラキラしてなかったのは確か。目と二重以外はわりと似たと思うけど……この子が私の遅れてきた思春期のプリンセスということにしておいて、いいのか。
それはそれで。
ラプンツェル……そのイメージ、髪の長い少女、童話でもプリンセスでなかったはず。その少女の名が心を大きくかき乱した。二十七年前の記憶から引き出されたあだ名だ。ラプンツェル。ロマンチックでもなんでもない、忘れていたい思い出したくない方の記憶だ。記憶という
とっても髪が長かった。中学二年の時クラスメートだった
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