第3話 空も心も晴れ晴れ

キーンコーンカーンコーン


 結局特にめぼしい収穫が無いまま学校が終わってしまった……


鬼虎きとらくん?」


 どうしたもんかねぇー。


「きーとーらーくーん?」


 はぁもう俺詰んだよなぁ。


鬼虎きとら皇太郎こうたろうくーん?」


「へ?」

「あ、やっと返事してくれた。」

「えっと、ごめんもしかして俺のこと呼んでた?」

「そーだよー。なのに鬼虎くん丸無視するし……」

「えと、ホントにすみません。ちょっと考え事をしていたし、寺月てらつきさんとは、その、話したこと無かったので気が付かなかったです。」


 そう、この子の名は寺月てらつき姫彩きさ。クラスの女子の中でもかなり顔の整っている人で、男女問わずにかなりの人気がある。女子の中心メンバーにいる人なので教室の隅でずっと令凰と駄弁っている俺にとっては無縁の存在だ。

 ちなみにしれっと言われたが俺の名前は鬼虎きとら皇太郎こうたろうだ。令凰ほどではないがそれなりにかっこいい名前だと思ってる。


どうでもいいか。


「それなら仕方ないけど次はもっと早く返事をしないと女の子にモテないよー」

「以後気を付けます…それで俺に何か用?ですか。」

「あー、特段用があるってわけではないけどなんか大分疲れた顔してたから大丈夫かなって。」

「そんな顔に出てました?でも、もう大丈夫です。心配してくれてありがとうございます。」

「ならよかった。こんなとした日に浮かない顔は似合わないからね。」

「きさーもう行くよー。」

「はーい。今行くー。」

「じゃあ私呼ばれたから先帰るね。バイバイ。」

「バ、バイバイ。」


 優しい。てか、可愛い。こりゃ人気な訳ですわ。

さて、令凰は早々に帰っちゃったし俺もそろそろ帰るか。



 念のために一応眼科に寄ってみた。特に異常はなかった。視力1,0だった。

―――――――――――――――

特にこれといった事は無く無事に家に着いた。


ガチャ

「ただいまー」


「お兄いってら~」

「それを言うならただいまだろ、楓。帰ってきた兄をすぐさま追い出すな。」

「えへへ~。お兄、頭大丈夫だった?」

「頭じゃなくて目な。ボケ過ぎだ。あぁ目は病院行ってみたが特に異常は無かったぞ。」

「そりゃあ良かった良かった。」


「んじゃ俺は疲れたしこのまま風呂入ってくるよ。」

「あいよ~のぞくね~」

「やめてくれ。」


 俺はあの後、風呂を入り終えて晩御飯を食べた。疲れすぎて睡魔が猛ダッシュしながらやって来たため、急いで寝支度もしておいた。

 そういえば令凰から貰ったぬいぐるみをベッドの上に飾っておいた。かわいい。


ベッドの上に寝っ転がった瞬間に完全に睡魔に飲み込まれた。


 

……結局あの黄緑空は何だったんだ?でもそれ以外は別に普通だったしな。

強いて言えば令凰がなんか優しかったのと後は……寺月さんが話しかけ……てき……て、あぁ……眠……


もう寝て起きたら全て元通りになってないかな……





空が黄緑色になってから1日。


今日も世界は狂って  ピッ  る。





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