第7話 活発な皐月との特別な時間
三つ子の姉たちとの口論は、その日のうちにうやむやになった。しかし、吾郎の心には、彼女たちの言葉が深く刺さっていた。特に、活発な皐月が放った「吾郎は、私がいなくちゃダメなんだから…」という言葉は、吾郎の胸を締め付けた。それは、結月と同じように、吾郎を独占しようとする、熱を帯びた感情だった。
次の日の放課後、吾郎が野球部の練習に向かおうとすると、校舎の裏で皐月が待っていた。バスケットボール部の練習着に着替えた彼女は、ショートヘアをなびかせながら、吾郎に声をかけた。
「吾郎、バスケの練習に付き合ってくれない?」
「え…俺、野球の練習があるから…」
吾郎が戸惑うと、皐月は吾郎の手を掴み、体育館の方へと強引に引っ張っていった。その手に込められた力は、吾郎を拒絶させないほどの強さだった。
「いいから!今日はちょっと、一人じゃ気分が乗らないの!」
体育館に入ると、他の部員たちの姿はなかった。皐月は、吾郎にバスケットボールを手渡すと、吾郎の正面に立った。
「さあ、吾郎。私にパス出して。負けないから」
吾郎は、皐月の真剣な眼差しに気圧され、彼女にボールをパスした。ボールを受け取った皐月は、素早いドリブルで吾郎を抜き去り、見事なシュートを決めた。
「どう?すごいだろ!」
皐月は、吾郎をからかうように笑った。しかし、その笑顔の裏には、吾郎を強く意識している視線が隠されていた。吾郎は、皐月のストイックな一面と、自分に向けられる熱い視線に、胸がざわつくのを感じた。
二人は、誰もいない体育館で、汗だくになるまでバスケに興じた。吾郎は、皐月の力強いドリブルや、しなやかな身のこなしに、家族とは違う、一人の女性としての魅力を感じ始めていた。
練習を終え、帰り道。二人並んで歩く吾郎と皐月の間に、静かな時間が流れる。
「ねえ、吾郎…」
先に口を開いたのは、皐月だった。彼女は、吾郎の腕にそっと触れると、吾郎の顔を覗き込んだ。
「吾郎は、私がお姉ちゃんだからって、遠慮してる?」
「え…?」
吾郎が戸惑うと、皐月は吾郎の手を強く握り、吾郎の腕に身体を寄せた。
「私、吾郎のこと、好きだよ。弟としてじゃなくて…男として」
その告白は、吾郎の胸を強く打った。結月との関係に罪悪感を抱いていた吾郎は、皐月からの真っ直ぐな好意に、戸惑いを隠せない。
「皐月…俺は…」
「いいの!言わなくていいから!」
皐月は、吾郎の言葉を遮るように、吾郎の唇を自分の唇で塞いだ。それは、結月とのキスとは違う、力強く、情熱的なキスだった。吾郎は、皐月の唇の熱さに、身体中の血が沸騰するのを感じた。
吾郎は、皐月を強く抱きしめ、キスを返した。そのキスは、吾郎の孤独を埋めるかのように、深く、そして熱を帯びていく。
二人は、キスをしながら、体育館の隅にある用具室へと足を踏み入れた。扉を閉めると、中はバスケットボールやマットが積み上げられ、独特の匂いがした。吾郎は、皐月を壁に押し当て、さらに深くキスを続けた。皐月は、吾郎のキスに喘ぎながら、吾郎の首に腕を回した。
吾郎の手が、皐月の練習着に触れる。汗で湿った生地が、吾郎の指先にまとわりつく。吾郎は、皐月の服を脱がせ、その白い肌に唇を寄せた。皐月の身体は、吾郎のキスに小さく震えた。
「吾郎…もっと…」
皐月の甘い声が、吾郎の理性を完全に吹き飛ばした。吾郎は、皐月の身体を愛撫し、彼女の快感を高めていく。皐月は、吾郎の愛撫に小さく喘ぎながら、吾郎の身体を求めてきた。
二人の身体は、互いの熱を分かち合うように、一つになった。皐月の身体は、吾郎の熱い身体に触れるたび、初めての経験に戸惑い、小さく震えた。しかし、その震えは、快感と歓喜の震えへと変わっていく。
用具室の静けさの中に響く、二人の吐息と、甘い喘ぎ声。それは、家族という壁を突き破り、新たな禁忌の愛へと踏み出した、二人の最初の夜だった。
吾郎は、皐月を強く抱きしめながら、彼女の身体に自分の身体を深く埋めた。皐月の身体は、吾郎の身体を優しく受け入れてくれた。二人の間で交わされる快楽は、吾郎の孤独を、一瞬だけ忘れさせてくれた。
「…痛い…?」
吾郎が不安そうに尋ねると、皐月は首を横に振った。
「ううん…痛くない…でも、ちょっと、怖い…」
吾郎は、皐月の言葉に胸が締め付けられるような思いがした。彼女は処女だったのだ。自分は、結月に続いて、また家族を傷つけようとしているのか。
「ごめん…皐月…」
吾郎がそう言うと、皐月は吾郎の顔を両手で掴み、真っ直ぐに吾郎を見つめた。
「謝らないで、吾郎…私…吾郎のこと、ずっと好きだったんだ…」
その言葉に、吾郎の心は揺れた。罪悪感と、皐月からの真っ直ぐな好意。吾郎は、皐月の言葉を信じ、彼女を強く抱きしめた。
皐月は、吾郎の愛撫に小さく喘ぎながら、吾郎の身体を求め始めた。彼女の快感が最高潮に達すると、吾郎もまた、快感の波にのまれ、二人同時に絶頂を迎えた。
用具室の静けさの中に響く、二人の吐息と、甘い喘ぎ声。それは、家族という壁を突き破り、新たな禁忌の愛へと踏み出した、二人の最初の夜だった。
吾郎は、皐月を抱きしめたまま、静かに目を閉じた。それは、新たな罪悪感と、新たな快楽の始まりだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます