一期一会 〜タクシードライバーが紡ぐ、扉の向こう側〜
ワイドット(Y.)
はじめに
はじめに
タクシーの仕事では、日々さまざまな人と出会います。
時に笑い、時にトラブルもありますが、どれも”一期一会”。
一瞬の”刹那”が、ふと心に残り、
それが、やがて”永遠”になることもある。
そんな思いを物語にしてみました。
どうぞ最後までお付き合いください。
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本作は、2010年頃のタクシー乗務体験をもとにしたフィクションです。
地名・時間・登場人物・描写はすべて物語上の演出であり、実在のものとは関係ありません。
一部に、現在の基準では不適切、コンプライアンス違反、あるいは迷惑行為と受け取られる可能性のある表現が含まれますが、
あくまで一つの物語としてご理解いただければ幸いです。
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タクシーは、私たちの暮らしに欠かせない交通手段です。
しかし、その勤務形態や給与体系、業務の実態については、意外と知られていないかもしれません。
そこで、本文に登場する業界用語や、一般には馴染みのない言葉を以下にご紹介しておきます。
用語説明
タクシー業界編
タクシー:正式名称は「一般乗用旅客自動車運送事業」、道路運送法に基づく許可事業です。
違反があれば、営業停止・車両使用停止・懲戒処分を受け、最悪、事業許可の取消となることもあります。
営業圏:タクシーが営業できる地理的エリアのこと。
東京都23区のタクシーは、「東京23区・武蔵野市・三鷹市」で営業可能です。
これを「特別区・武・三地区」と呼ぶこともあります。
区域外の営業は営業違反です。
実車:乗客を乗せて賃走中の状態。お客さまを探している状態は「空車」です。
回送:車庫に戻る(帰庫)、給油、食事や休憩など、営業できない状態のこと。
正当な理由もなく回送にすることは「偽装回送」となり、違反行為です。
無線配車:配車依頼による無線連絡。配車された車は「迎車」となり、指定された場所へ向かいます。
かつては電話でタクシーを呼んでいましたが、現在はアプリ配車が主流です。
流し:お客さまを求めて走行しながら営業すること。
お客さまのご要望であっても、法令遵守の観点から、駐停車禁止場所や交差点内、バス停での乗降はお断りするのが原則です。
付け待ち:お客さまがいそうな場所に車をとめて待機すること。
ただし、駐車禁止の違反や迷惑駐車とされ、問題視されることもあります。
また、駅のタクシー乗り場で待機することを「駅づけ」と呼ぶことがあります。
乗車拒否:正当な理由もなくお客さまからの乗車をお断りすることはできません。
正当な理由としては、「行き先が遠方で100kmを越えるなど帰庫時間に間に合わない」や、「酔客などによる目的地の指定ができない、または安全運行に支障をきたす恐れがある場合」などがあります。
表示器:外からタクシーの空車、賃走、高速、迎車、支払、貸切、回送の状態がわかるように表示器(スーパーサイン)を付けています。
また、屋根には「行灯」と呼ばれる屋根灯を付けています。
空車の状態が一番目立つように灯火しており、実車中になると消灯するのが一般的です。
緊急時、タクシーになんらかの緊急事態が起きている場合、行灯は「ピンク点滅」、スーパーサインに「SOS」と外部からわかるようになっている車もあります。
法人タクシー:タクシー会社に所属して運行するドライバーによるタクシー。
勤務時間や営業圏、勤務形態などは会社の方針に従っており、車両も会社所有のものを使用します。
個人タクシー:一定の経験と条件を満たしたドライバーが、自分で営業許可を取得し、自家用の車両で営業するタクシー。
自分で働く時間や営業スタイルをある程度自由に決められるのが特徴です。
東京都内には複数の個人タクシー協同組合があります。
そのひとつに、東京個人タクシー協同組合(東個協)があり、行灯の見た目から「デンデン虫」と愛称がついています。
そして、複数組合で使われている「提灯」の行灯もあります。
組合に所属していない個人タクシーも存在し、「カマボコ」と呼ばれています。
相番(あいばん):タクシー一台を二人以上で共有すること。
「夜日勤(ナイト)」と「昼日勤(昼勤)」で車両を交代します。
前の乗務員が帰庫しなければ出庫できないため、帰庫時間は厳守です。
隔勤:隔日勤務「出番・明番(あけばん)・出・明・出・明・公休……のサイクル」で勤務すること。
タクシー乗務では一般的な勤務形態です。
ロング:業界用語で「長距離乗車」のこと。
ありがたいお客さまですが、復路はほぼ空車となるため、「諸刃の剣」となります。
100kmを超えるような超ロングは「おばけが出た」と表現することもあります。
反対に、短距離乗車(初乗り料金)は「ワンメ」、それが続く状況は「短走(たんそう)祭り」と呼ばれます。
下道(したみち):一般道のこと。
「下道」に対して、高速道路は「上(うえ)」と呼ぶことがあります。
乗車禁止(乗禁):「銀座乗車禁止時間」の略で、平日22時〜翌1時の間、タクシーは迎車を含めて専用乗り場でしか乗車できません。
時代遅れとの声もありますが、これがないと銀座の通りはタクシーで埋まってしまいます。
東京にはほかにも、「羽田空港」「赤坂」「東京駅乗り場以外」などに乗車禁止の規制があります。
銀座クラブ用語編
ママ:クラブの女性経営者または接客責任者。
チーママ:ママの下で働く副店長的存在。
大箱:店舗が広く、銀座七丁目に多い高級クラブ。
黒ストッキング(黒スト):銀座の高級クラブにおける「黒ストッキング禁止」は、単なる服装規定ではなく、文化・価値観・女性像を象徴する重要な要素でした。
伝統的に好ましくないとされてきた歴史があります。
これは、お客様を楽しませ、華やかな雰囲気を演出するという銀座のクラブ文化の精神に反すると考えられてきたためです。
しかし、近年では価値観が多様化し、ファッションの一部として受け入れられるようになっています。
移籍:ホステスやママが別の店に移ること。
その他(本文中の内容と現状が異なる事)
カイエン:ポルシェ社のSUV。
実際に東京でタクシーで使用されている。
が、パナメーラは同じく、ポルシェの4ドアスポーツセダン。
はおそらく、タクシーでは使われていないと思われる。
八重洲線:首都高速道路・八重洲線(KK線)。
日本橋川周辺の景観改善のため、現在は廃止されました。
小松川ジャンクション:現在、開通しており、中央環状線(C2)から千葉方面(首都高7号小松川線)へ向かうことが可能になっています。
首都高速に関しては、2018年以降至る所で改修工事が行われています。
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