オルグ!オルグで前進、異世界革命

まーもっともてぃむ

第1章 イルベン刀バブル編 第1話 「オルグ」とは何か

「若人よ、諸君のモラトリアムを奪われている。やれコスバだ、やれ社会貢献だ、やれ即戦力だ、そのような言論があふれ、若者はそれらを追及することを強いられている。何故か。それは少子高齢化、若者の減少により、一人でも多くの若者を資本家、ブルジョワジーが使い潰したいからに他ならない。若人諸君、それでいいのか。はした金と青写真をぶらされられ追従する、そんな現状を打破し、若者特有のモラトリアムを取り返そうではないか。」

「うっせー。共産主義星人め。お前たち共産主義星人がレーザーを当てて、地球温暖化を引き起こしているそうだな。そうはさせないぞ」

サクッ

アジテーションをしていたら、俺、集夢(アツム)は暴漢にナイフで刺されてしまった。血が止まらない。畜生。これからデモもやって、革命を前進させ、資本家により支配された社会を打ち壊さなければならないのに。ヤバい。心臓を刺された。刺された場所が悪い。病院に運ばれても…



うっ。なんだ。起きたら刺された心臓が元に戻ってる。それに、ここは日本ではなさそうだ。何なら異世界ファンタジーのような世界だ。まさか、俺は転生したのか。ポケットに紙が入っている。

『オルグ!この呪文を唱えると、相手を仲間にすることができるスキル。このスキルを授ける。神より』

胡散臭いが、とりあえず対象を探して、誰かをオルグしておくか。


あんなところに辻立ちしている男がいるぞ。

「皆さん、いよいよ3年後にはネテートランドは共和国となり、国会議員選挙が行われます。3年後の選挙、是非とも私に皆様の声を国政に代弁させていただきたく」

「うっせー。3年後の選挙なんかどうでもいいだろ。それより、今はイルベン刀だイルベン刀。イルベン刀を手に入れて、転売して儲けてやるんだ。」

「そうよ。選挙だか何だか知らないけど、そんなところに突っ立ってても邪魔よ。」

よし、まずはこの辻立ち男をオルグしておくか。

「オルグ!」

「はっ。俺は共産主義なんかに興味ねーんだよ。二度と話しかけてくんじゃねーぞ。」

ちっ。「オルグ」なんて効果なかったじゃねーか。まあ、もしかすると、思想が合わない人には効果がないだけで、ノンポリとか革命運動に興味がある人には効果があるかもしれない。次は政治活動とかをあまりしてない感じの人を探して、オルグするか。

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