ツン 25% デレ 75%

 俺の膝に足を乗せたまま、ツン子は不意に上半身を近づけてきた。


「な、なんだよ?」


「別に。ただ……冷房の風がここまで来ないから」


 そう言いながら胸元がぴたりと俺の腕に触れる。柔らかい感触と温かさに、心臓が跳ね上がる。


「……おい」


「……すご」


 小さく息をもらして、ツン子が俺の胸の上あたりに顔を寄せる。


「私も……あんたも……すごくドキドキしてる……っ」


 耳元に落ちるその吐息が熱くて、甘くて、頭が真っ白になる。


「意外と、男らしい体つきしてるのね……」


 囁きながら、彼女の指先が俺の胸から肩へ、そして腕へとさわさわと這う。そのまま二の腕の筋を確かめるように撫で、肘の内側まで指をすべらせていく。


「……ん、ちゃんと筋肉あるじゃない。ほら、力入れてみて?」


「お前……何が目的だよ」


「さぁ? ただの観察?」


 そう言いつつ、今度は俺の太ももと重ねていた自分の太ももをゆっくり擦り合わせる。布越しに伝わる温度と形に、息が詰まりそうになる。


「……ねえ、これ以上近づいたら、どうなると思う?」


「……お前が決めることだろ」


「ふふっ……じゃあ、ちょっとだけ試してみよっか」


 胸も太もももぴったり密着させたまま、ツン子は俺の首筋近くまで顔を寄せ、吐息をかけながらにやりと笑った。


「顔、真っ赤。やっぱり面白い」


「……お前な」


 けれど、触れている手のひらからも、彼女の早い鼓動が伝わってくる。


 本当は俺だけじゃなく、ツン子も同じくらい――ドキドキしている。


「……ねえ」


 あれからベッドの上に移動したツン子――いや、もう完全にデレ子と化した彼女が、潤んだ瞳で見上げてくる。

 瞳の中には、小さくハートの光が揺れていた。


「……好き。ほんとに、好きで……どうしようもないくらい」


 そう言うと同時に胸元がふわっと開き、柔らかな曲線が俺の視界いっぱいに広がる。

 下着越しに伝わる熱と甘い匂いが、一気に理性を削っていく。


「チュー、して……」


 唇を合わせると、すぐに彼女の舌が触れてきた。

 とろりと絡まる舌先、唾液の音が耳の奥まで響く。


「ん……っ、ふ……ぅ、もっと……」


 抱き寄せると、スカートの裾からするりと伸びた彼女の脚が俺の腰に絡む。

 生肌同士が触れ合うたび、互いの体温が溶け合っていく。


「ねぇ……私のこと、ちゃんと見て?」


 言われるまま視線を落とすと、彼女は自分の胸元を俺の腕に押し当てながら、甘く微笑んでいた。

 その目は完全にとろけきった恋人の瞳で、もう一ミリもツンなんて残っていない。


「すごく……あんたのこと、感じてるの……」


 指先が俺の背中や首筋をさわさわとなぞり、時折、爪が軽く肌を引っかく。

 その度に呼吸が重なり合い、熱が上がっていく。


「もう……止められないね……?」


「俺も……」


 再び唇を重ね、深く舌を絡める。

 今度は彼女が自分から腰を寄せ、身体全体を預けてくる。


「……だって、好きで好きで……どうしようもないんだもん」


 シャツがずり落ち、肩から滑り落ちた布の隙間から、彼女の熱い肌が触れる。


 その瞬間――俺の中の理性は、完全に崩れた。

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