第2話
「くそっ……なんで……」
魔法を覚えたての頃、僕は周りに比べて魔法を使うのが下手だった。
魔法を練習すれば失敗し、その様子を周りに見られれば笑われ、バカにされる。
あのとき、自分の心は限界に来ていたと思う。
自分の体は自分の体じゃないようだった。
頭の中はゴチャゴチャで周りの情報が入る隙間はなかった。
五感から得られる情報は脳に入る前にすべて押し出されていた。
だが、体は動いていた。
自分の意志はなく。
そして自分は高台に登り、柵の前にいた。
そしていとも簡単に躊躇することなく、自分の手は柵から離れた。
体が前に倒れていく。
視界に遠い地面が移されていく。
青空が視界から消える。
その時だった。
倒れていく体が止まった。
両肩に感覚を感じる。
そして自分の体は後ろに、倒れていた体は起き上がり、気づけば柵の内側にいた。
スライトは顔を上げた。
そこにはメアリーがいた。
メアリーは僕の彼女。
メアリーの手によって僕は命を落とさなかった。
僕はその後、メアリーに分かれてほしいと言った。
もちろん、メアリーが悪いわけではない。こんな自分じゃ何かあったとき、メアリーを守れない、しかも傷つけてしまうかもしれない。
そう思ったからだ。
もちろんその事もメアリーに伝えた。
そしてメアリーと僕の恋人の関係は終わった。
次の日、スライトとトムは休日のため、買い物をしに街まで向かっていた。
二人が住んでいる場所から街まではかなり距離がある。
街まで向かっているときだった。
二人の眼の前に魔物があらわれた。
魔物は二人に襲いかかる。
トムが魔法で魔物を倒した。
すると草陰からもう一体、魔物が、現れた。
スライトは剣を抜こうとする。
剣が、さやに引っかかって抜けない。
魔物がトムに迫る。
その時だった。
トムに迫る魔物が大きな爆発で散った。
それはスライトの魔法であった。
スライトは魔法が下手な訳では無い。
あの、魔法がヘタでバカにされたときから魔法を使わなくなるまでスライトは訓練を積んでいたのだ。
スライトの魔法の腕前は十分に強かった。
魔物は朽ち果て、消え去った。
トムはスライトに感謝した。
だが、スライトの顔は曇っていた。
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