ガチヲタなのを隠したい!!!

明日転生

第1話 ヲタク系サッカー部

―部活終わりの下校道―


「はぁ」

 最近はこんなため息が多くなってきた。理由はもちろん高校生になったからである。今のクラスになってから2ヶ月が経ち、各クラスの色は少しずつでてき始めている時期だ。


 「またため息かよ…そんなことしてると運が自分から逃げちゃうぞ〜」

 そう言い俺の頬を人差し指でぐりぐりしながらにやけている男は俺の友達、「及川 学斗(おいかわ まなと)」だ。同じ1年C組のクラスメイトで出席番号をも近く、入学式の日、緊張していた俺に向こうから話しかけてくれたことがきっかけで仲良くなった友達だ。


 「部活で疲れてんだよ、そっちはキーパーだから走らなくていいかもしれないけどな」


 「何をぉ!この野郎〜」


 「ちょ、脇の下は反則だろ!やめろって笑笑笑」


 「うるせぇ!葵が悪いんだからな!おりゃおりゃおりゃ!」


 「ごめんって笑笑、お願いだからもうやめて笑笑」


 「じゃあ俺こっちだから!また明日葵!」 


 「あぁ。また明日」

 入学してからいつもこんな感じでじゃれ合う仲だ。正直及川にはすごく助かっている、及川はいわゆるクラスのムードメーカーだ。

 及川は入学式初日から色々な人に話しかけ、すぐに及川の周りには人が集まるようになっていった。

 元々コミュニケーションがあまり得意ではなかった俺にとって及川と関わっていたことで、クラスメイトから俺に話しかけてくれることが多くなったのである。


 「本当にありがたい―」

 そんなこんなで及川と別れ一人になった俺はまたため息が出てしまう。

 

 「はぁ、まじでどうしよう来週の劇場版アニメ…いやぁ限定特典がもらえるはまじで熱いからできれば何回もいきたいけなぁ〜でも部活があるんだよなぁ〜」

 そう。俺はクラスでなじめないからとかそんな薄っぺらいことで悩んでいるわけではない。


 「時間がない!!勉強に部活に登下校ですら片道1時間!登下校の時間はラノベを読めばいいと思ったけど学校に自分好みのラノベを持っていくのは見つかった時のリスクがありすぎる!!」

 このように、高校生になってから時間が圧倒的に足りないのだ。

 また高校生になり土曜日登校が当たり前に、もちろんその日の放課後は部活の練習、日曜日には毎回グラウンドを借りて他校との練習試合。部活は月、水、金、土、日の週五日。


 「やっぱり土日に休みがないのはきつい……あのアニメの入場特典欲しいんだよな〜。やはりあの手を使うしかないのか……」


―次の日曜―


 「グヘヘヘ、やっぱり部活を休んでまで来た意味があった。いやぁ。特に最後の家族で抱き合うシーンなんかもう涙が止まんないし、この入場特典あのシーンの原画じゃん!嬉しすぎる!」

 もちろん高校生活でヲタクなことを隠している俺は一人で映画を見に来た。部活のみんなには申し訳ないと思ったが6、7月の部活予定表で土日の休みは1日もなかったのだ。


 「逆に部活の人に合わないのは確定してるからちょうどよかったのかもな。」

 そんなことを考えながら俺は映画館の直ぐ側にあるゲームセンターに向かった。


 「やっぱ映画に来たらゲーセンはセットだよな。まぁフィギュアにしか興味ないけど」

 そんな事を考えていたら一つのクレーンゲームの台を見つけた。

 この台には今日見た劇場版アニメヒロインの、少し露出の多いフィギュアが置いてあった。

 だか今日来た映画館は高校からも遠い位置にあるから同じ学校、さらに同級生に会う確率はかなり低いはずだ。


 「こんなところ同じクラスに人に見られたら俺の高校生活終わりだな……」

 と、考えながらお金を入れていく。この台は500円を入れると6回プレイできるようになっているらしい。

 「なんて素晴らしい台なんだ。」

 早速500円を入れてプレイし始めた。


 「なかなか取れないな…手元に札しかないから一回両替するか」

 台を一回キープモードにしてから両替をしに両替機に向かって歩き出した。


 「あれ?もしかして葵くん?」


 「え?……天宮さん?……」

 そこには学年で話題になっている少し背の高い美人なクラスメイト、天宮 愛「あまみや あい」が立っていた……

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ガチヲタなのを隠したい!!! 明日転生 @as26tn

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ