第8話
夜が明け、静かな朝焼けの中――
カイルたち三人は、それぞれの目標に向けて動き出していた。
「よっしゃ、今日からが本番だな」
ジーンが大きく伸びをしながら言う。
昨晩の疲れは完全に取れていないが、気力はみなぎっていた。
「私は図書館に行く。もっと強い回復魔法、ちゃんと探してくる」
ミリアが真剣な表情で言い残し、街の中心部へと向かっていく。
「……じゃあ、俺は森だ。スキルを探しに」
「もちろん俺も行くさ、カイルの後ろは俺が守る」
こうして、カイルとジーンは再びリリオの森へと足を踏み入れた。
森の中は、前日とは違って静けさに包まれていた。
風が木々を揺らし、葉がひらひらと舞い落ちる。
だが、その静寂の中に――妙な気配があった。
カイルが立ち止まる。
その視線の先にいたのは、一人の少年だった。
乱れた銀髪、鋭い眼光、腰には二本の剣。
「……アイツは……」
ジーンが小さく呟く。
――ヴァース・ゼクト。
カイルたちのクラスで“問題児”と恐れられている生徒。
無許可での外出、無断戦闘、挑発・喧嘩上等。
だが戦闘能力は確かで、彼の実力を教師ですら警戒していた。
ヴァースはゆっくりと顔を上げ、カイルたちに目を向けた。
「……へえ。生きてたんだ。」
「なんの用だ、ヴァース」
カイルが警戒しながら問うと、ヴァースは笑う。
「来週の教師戦。お前らが出るの、俺は気に食わないんだよ」
「……何言って――」
「お前らが怪我して欠席すれば、その分、俺の合格率が上がる。そうだろ?」
そう言うと、ヴァースは双剣を抜いた。
「ちょっ、おい、いきなり――!」
ジーンが言い終わる前に、ヴァースが突っ込んできた。
目にも止まらぬ速さで――その刃は、カイルの腹を狙って一直線に振り下ろされる。
ギィン!!
金属を弾く音。
カイルの背後から伸びた鋼鉄の
「なっ……!?」
ヴァースが初めて目を見開く。
その隙を逃さず、カイルの右腕が変化する。
毒の
「お前が理由もなく牙を剥くなら、俺も遠慮しないッ!!」
カイルの爪が、ヴァースの肩口を掠める!
裂けた制服、流れる血。
ヴァースが大きく跳躍して距離を取る。
「クソッ、やるじゃねぇか……」
だが、その顔には怒りではなく、高揚した笑みが浮かんでいた。
「こりゃあ、ますますぶっ壊してぇわ……!」
ジーンが斧を構えながらカイルに声をかける。
「カイル、次の攻撃はヤバい、絶対本気でくるぞ……!」
「ああ。だけど今の俺は、昨日までの俺じゃない」
カイルは鋼の尻尾をうねらせながら、毒の爪を構える。
“模写する力”がある限り――未知の敵も、力にできる。
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