第8話 女王様気質のクイーンファン

彼のことで会議をした。

やっぱり彼氏でも無い!と言う結論に。

それでも私は一緒にいられるだけで良かった。

何なら彼女じゃないなら別れないから、ずっと一緒にいられる。

それはそれで良いかも?ぐらいで。

死にたかった私を、こちらに引き戻してくれたのは実際に彼。

毎朝会って馬鹿話するだけで、笑顔になれて楽しかった。


お盆明けには、「私はこの人が好きかも?」の自覚はあり。

好きじゃ無ければ、気になる人じゃ無ければ、「この人は、私をどう思ってるのか?」が気になる訳は無い。

女子校だからって、電話がかかっただけ話かけられただけでは、相手の気持ちを、知りたくなったりはしない。

友達を集めて会議しない。

結果友達も「今は単なる朝一緒に行く人だから様子見したら?」と言い。

が、2人の関係を測るために、「文化祭に誘ってみるか?」は少し考えた。

実際とは別に、誘ってみたら喜ぶか面倒がるかで、相手の考えがわかるかも?

が、彼を誘うか決心出来ず。


彼は恋愛のカーストの、頂点の小さい三角のポジションの人。

私ごときでは、釣り合わない自覚はあった。

私は一般のその他大勢のほう。

愛想は良かったは➕?

スタイルは男子の憧れる、ボン・キュ・ボンでは無い➖?

人と合わせるのは、普通。

音楽洋楽好きは、彼だと➕?

一般的に本好きは女子は➖?

家庭は借金まみれだから、カースト位置はかなり低い。


四馬鹿会議からしばらく。

彼と知り合って約三カ月。

私が「彼のことが好き?」と気づいて約一ヵ月の時期。

様子見を決めて2週間。

予想もしなかったことが起こった。



学校は皆んな裕福な家庭のお嬢様。

一人っ子や上に兄がいる、姉がいる末っ子も多く。

一人っ子は可愛がられる。

末っ子が女子なら家族は可愛がる。

そんな子の言うことを、家族はそのまま聞くから、ワガママは言い放題に。

家族で彼女らは、女王様状態で育っていた。

学校には女王様がたくさん。

女王様だから全員ワガママだから、ぶつからないワケはない。

それは友達なの?子分的な子がいる人も。


通学路が同じは中学から十五人ぐらい、高校からも増えた。

ウチ二人は親友。

一人は部活やめたら話せなくなり。

七、八人は学校でも話す。

それ以外は学校ではほぼ話さない人たち。友達とは呼べない人。


入学してから、私はまず歌謡曲以外が好きな人として、徐々に洋楽好きな人で、学年では知られるようになり。

他の人の話も耳に入る立ち位置に。

学年の音楽好き事情はかなり知ってた。

クイーンもラジオで流れてて好き。

『シアハート・アタック』からは、ほぼオンタイムに近い感じで聴いた。


私のネットワークでは中一時代はラジオ好きでも、音楽好きでもなかった人が、中二以降クイーン好きになったようで。

通学路は同じ。女王様気質のほぼ話さない人。一人っ子。

あの『ボヘミアン・ラプソディ』効果?

アルバムは七十五年十月リリース。

日本で曲が盛大に流れたのは、七十六年に入って中二になった頃。


中ニの秋、昼休み終わりに、突然彼女は話かけて来た。

普段は挨拶ぐらいしかしない。

「クイーン知ってるか?」って、ちょっと生意気な口調で。

何故上から目線で、試すように聞かれるのか?と不思議。

「知ってるよ。一年の時から知ってるし、前のアルバムも聴いて好き」って答えた。

「クイーン以外はバンドじゃないわ。他はゴミ。聴く価値は無い」みたいな話を、五分以上、滔々と聞かされた。

クイーンの良さと、他の悪口。

「何者?この人?」

私はペイシティローラーズにハマってても、クイーンも KISSもイーグルスも、ブラック系も聴いてた。

色々な物が好きな私とは、真逆の考え方。

他のバンドをゴミ扱い。

「何故そんなに、上から目線?」って。

楽器が弾けた訳でもなく。

それを押し付けてくる感じが、より苦手で。

彼女のキツイ口調に負けて、共感したフリも面倒くさく。

彼女の子分のような感じの子は、可哀そう?

多分ずっと彼女の勝手な講釈を聞かされてそうで、気の毒。

私は「アンタより、早くからクイーンは聴いてる。人の好みにケチつけたり、他のバンドを悪く言うのは理解出来ない」が本心。

好みが違うから、色々なジャンルがある。

お互い好きな物は違って良い派だから、人に押し付けるのはわからない。


二年の終わりに、バスで中学の修学旅行に行った。

バスガイドさんが歌ったりゲームしたり、一生懸命やってくれたけど盛り上がらず。

帰りの高速道路で、皆んなも飽きてきて。

誰かが「音楽をかけて!」って叫んだら団結。

「郷ひろみ!」とか、「ピンクレディ!」とか口々に叫んだ。

その中でその子は「クイーンかけて!テープはここにある」って、近くでずっと叫んで。

このクラスのバスでクイーンを知ってるのは、彼女と私ともう一人?

もう一人はラジオは聴く。

彼女は、曲は知っててもロックは苦手。

「この人は、まるで空気を読まない、我が道を行く人?」と驚いた。

先生を含めて五十人近い人が、全く知らない曲?

誰も知らない曲は提案すらしない。

カセットテープを振り回して、立ち上がって叫んで、クイーンを推す彼女にはビックリ。

ど演歌より支持が低いし、知る人は少ない。

ウォークマンも無い時代。

彼女は何のために、カセットテープを持参してたかも謎。

宿にはテレビはあった。

周りのことはお構い無しなんだ…。


その後は、より距離を置く人になり。

班単位での実験や実習にも、真面目に協力しない。

近くの班だから気づいた。

私以上に「この人何しに学校へ来てるのか?」で。

授業は寝てるだけ。試験勉強をする様子もなく。


高校生は放送部に入れる。

クイーン女子は、何の部活にも入らず。

が、放送部に入った真面目で大人しい子を、子分にしたようで。

放送部の子は目立たない。

けど声は違う。

他に無い輝きがあった。

彼女は私と同じクラス。

音楽に興味が無いのに、何故放送部なのか確かめた。

彼女は恥ずかしそうに、小さい声で、

「高校野球のウグイス嬢?あの1番サード、◯✖️君!って、あれがしてみたいから」って。

彼女の声は、あの高校野球のアナウンスの声のイメージに、ピタリとハマる。

放送部なら可能性があるから入った。

「やりたいことのために部活始めたなら良いやん。応援してるよ」って。

放送コンクールとかもあり、出てみたら?的な話も。

しばらくして彼女の担当する日が増え。

放送部は音楽好きで、流したい人が入るような感じ。

アナウンス声や聞こえ方に、拘ってたのは彼女だけ。

同じ学年は他にいない。

先輩も一人は「もう引退するわ」とかで、彼女が入ってすぐにやめ。

人が少ないからやめられずいた、人柄の良い先輩と二人に。

先輩は前に出たくない。

アナウンスしたい彼女が入ったなら、彼女に任せて裏方を。

結果毎日昼休みの放送は、彼女のアナウンスに。


先輩も彼女も音楽は詳しく無い。

クイーン女子は内情を知り。

「放送でコレかけて」とレコードを持って来たり。

「レインボーは今日もかけてや!」とか言ってた。

最近毎日レインボー3連続、ディープパープルが続く理由はコレか?

この後ホワイトスネーク祭りもあった。

クイーンもたまに流れたけど、お昼の放送は、基本ハードロック。


以前はクラッシックのショパンのピアノ曲、ポップスでもカーペンターズまで。

ビートルズさえ流れなかった、昼休みの放送が激変。

無理矢理レコードを、かけさせられてる感じも嫌。

私物化?

周りにも「昼休みは最近うるさい、同じような音楽ばっかり」って言う人も。

知らない人は、ハードロックは全部同じに聞こえる。

彼女は変わらず、私には自己中心的な人の印象。


彼女は女王様気質で、上から物を言う。話す相手は自分の言うことを、黙って聞く人だけ。

クラスでの存在感は薄い。

彼女には子分はいても仲良しは?

外見は背が低くてぽっちゃりが、この時期にはでっぷりに近付いて。二重顎になりかけて。

色白だけど、青白くて健康そうには見えない。

ほぼ笑わない。顔つきは怖い?

目が悪いのか?

眼鏡はかけずいつも目を細めている。

髪は綺麗なストレートだけど、構わないのか、主張か腰近くまでずっと伸ばしたまま。

毛先はバラバラ。

センター分けもずっと変わらず。

彼女を「オバQ」ってネーミングした人がいて「さすがのセンス」って。

アニメのオバQは、明るくて愛想は良い。

だから、「怖い?暗い?オバQ」な雰囲気。「ブラックオバQ」?

ギターを弾く子たちとも、友好的でもなく。

ジェフ・ベック好きの三人は、彼女を避けてる?捕まらないようにしてた。

ジミー・ペイジ好きの子とは、話してるのは見かけたけど。


その彼女が夏休みが明けて、二週間ほどした休み時間。

私のクラスに来て、突然話かけてきた。

「あの進学校の人と、付き合ってるん?」

って。

私は何故?それを聞かれるのかわからなくて。

私が一緒だから目をつけたのか?

元々好き?彼が気になってた?

同じ沿線だから私たちが毎朝一緒に通学してるのは、多分見ている。

だから、「何のこと?」「誰のこと?」とか、とぼけることは出来ず。


ピンチ。どう答えるのが、正解?


関西特有の「知らんがな」って答えるとか、「内緒!」とか言えたら、良かった?

高校生の私には無理。


女子は友達以外には、好きな人の話は、しない。

ただの知り合いにはしない。

噂は嫌.

他の人はそこには踏み込まない。

友達の横取り、知り合いの男子や彼氏に手を出すのも、女子では御法度。

だのにこの人は土足でズカズカと入って来た。


私の考えだと、付き合ってはいない。

ウソを付いて「付き合ってる」と言うと彼は怒るかも。

仲が良い今の関係が、崩れてしまう可能性も。

彼女が友達なら、「私は好きやけど、向こうはどうかわからない」と正直に話す。

この人は噂話を改悪する人なのも、薄々わかってて。

友達でも無い人に本心は明かせない。

相手も自分の気持ちを知らないのに、何故彼女に話す必要がある?

高校生になったばかりで、上手く誤魔化す言葉もなく。

「めちゃくちゃ良い人やで〜」とか、

はぐらかせたら?


馬鹿正直?生真面目なところがあるから、当たり障りの無い

「付き合ってないよ。友達」と最小限で話した。

すると彼女はニヤリと笑って、また質問して来た。

「あの人は、デビット・ボウイが好きやんな?」

何それ?

咄嗟だから考えずに、

「うん。好きやと思うけど」と言うと、彼女は畳み掛けてきた。

「デビット・ボウイの話がしたいから、紹介して!」と、有無を言わさない口調で言った。


この人はクイーン好き。

ハードロック好きも、知ってる。

幅広く聴く人では無いことも。

余計に「何故デビット・ボウイ?」と。

ボウイはハードロックではなく。

クイーンなら少しは近いか?

が、よりハードロック系が好きなのに。

「この人、いつボウイなんかが好きになったのか?」と。

『紹介して!」って、私が勝手に答えて良い問題かもわからない。

黙ってたら休み時間が終わり、彼女は微笑みながらクラスへ。


翌朝怖い光景が…。

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