第3話 お姉エ疑惑?ボウイとラジオ番組

「この人もしかして、お姉エ?」

中性的な見た目。

話し方がおばさんみたいな、おじさんはいた。

が、高校生男子にはいない。

おばちゃん風のイントネーションと、言葉遣いに話し方。声も優しい。

テレビでは美輪明宏や、ピーター、カルーセル麻紀も見てた。 

もしかしたらこの人も?

馬鹿な女子高生の考えることはこの程度。

世間話はしてるけど、「付き合って欲しい」は無い。


リアルでは知り合いはいない。

可能性はある。

観察したら「眼鏡が変わってる」

中学時代は太めの銀縁で四角い、おじさん風の眼鏡。

見るのはいつもは真横。

ジョン・レノンのイメージの細い金縁の丸眼鏡。

最近険しさが和らいで見えたのは、眼鏡のせいかも。


「兄弟はいる?僕は一人っ子やけど、前田さんは?」

「私は女3人の1番上」

身上調査か家庭訪問みたいな質問。

身体をクネらせない。

言葉は声は優しいけど、内容は普通の高校生。

いきなり「お姉エですか?」とは聞けないし、どうやら違う。


自己紹介をしたけど、目を真っ直ぐには見られなかった。

向こうも同じ。

元彼以上の、ドキドキはあった。

意識はしてくれてる?

私の変な勘繰りは、違っていたようで安心した。


趣味の話になった。

「僕は音楽が好き」

本だけ読んでそうだったのに。

学校も学校だから、哲学の小難しい本が好き?って想像を。

まさかの音楽。

でもクラッシック?

苦手なバンクとかプログレも。

歌謡曲は無さそう。

「音楽大好き。ラジオは毎日聴いてるよ」

と、答えた。

ジャンルが気になるから、

「どんな音楽が好きなの?」って。

その答えはまさかでもあり、やっぱりでもあり。

「デビット・ボウイが好き。知ってる?」


『超難問キタ〜!」


当時の男子には、誰が人気が高かったかは知らない。

人気があったのは、三大ギタリストとその周りのバンド。クラプトン、ベック、ペイジ。

ディープパープルにレインボー。

KISSやエアロスミス、ストーンズ?

クイーンは女子。

バンクはまだマイナー。

私はJAZZ〜フュージョン〜R&B〜レゲエ〜普通のロックまで、かなり広く好きだった。

どこにも当てはまらない、独自の路線がボウイ。

男性ファンがいた?

ファンの年齢も高め?

彼はデビューも早くバンドで64年、ソロが67年。

アメリカでフォークがディランが活躍し、モータウンの時代からいる。

私はグラムロックには詳しくはない。

ボウイはマイムや劇団もやってからか、音楽そのものよりステージングで目立ちたい人、パフォーマー?

洋楽雑誌ではよく見た。


聞いた瞬間、頭が真っ白になった。

「何故そんなに難しい人が好きなのか?」

「彼らしいなぁ」も。

想像通り我が道を行くような人だった。

しっくりとはきた。

派手な靴下や雰囲気とも整合性はある。

イーグルスが好きなら、イメージが壊れたかも。


「知ってる?」って聞かれて、答えは超難問。

もちろん知ってる。

古い曲は知らないのも。

アルバムもラジオで流れたから

邦題『ジギー・スターダスト』は聴いた。

75年の『ヤングアメリカカンズ』も。

人気もあった。

この2枚は好き。

が、次この時代プライアン・イーノとかと作ったアルバムは好みではなく。

時期が77年あたりから。

後に「ベルリン3部作」と呼ばれる時期。

知り合ったのは78年の夏。


ボウイは嫌いじゃない。

てもジギーの時代は、化粧が派手で退廃的。女子中学生は敬遠気味。

自分が死にたかったから、亡くなりそうな人に敏感だった。

マイナス方向へ、引き込まれるような人は避けていた。

顔もデビュー当時とはかなり違う。

どんどん痩せて。

「カッコ良いのに、あんな化粧をしたら少し変。もったいない」が素直な感想。

「知ってるよ。ラジオで流れてる曲は聴いてるし、好きな曲はあるかなぁ」と、嘘じゃない範囲で答えた。


次に来る質問もわかる。また脳が回転。

多分質問は「何が好き?」

誰を答えれば良いのか?

その後ずっと聴いたスティービー・ワンダー?

当時曲は聴いてたけど、まだアルバムは、『キー・オブ・ライブ』ぐらい。

アース・ウインド&ファイヤーもディスコ全盛期で、ディスコ音楽好きと思う?

ジェニファー・ウォーンズやカーラ・ボノフは知らない率が高い。

キャロル・キング?

イーグルスは流行り過ぎて、ミーハーな感じ?

サーフロックや、フュージョンのスタッフもボウイからは遠い。

ビートルズ、カーペンターズも却下した。

スティービー・ワンダーは言ったかも?

考えた結果、知ってそうなビリー・ジョエルと、知らない可能性は高いけど、ジャンルは跨ってるホール&オーツ。

正解は難しい、

彼の反応は特になく。

「いいやん」とも言わない。


「ラジオは、どんな番組を聴いてるの?」って、また難しい質問が再び。

ランキング番組や音楽系なのか?

お喋り系なのか?

時間が稼げるから質問返しで、

「鈴村君は、どんな番組が好き?」

ボウイが好きなら、変わった音楽番組を教えてくれる?

が、彼は「あの番組とか…」って、主にAMでお喋り系をあげた。

が、住んでた場所だとラジオの電波が入りにくい、音が悪いお喋り系も。


素直に驚いた私は、

「そんな番組はちゃんと入る?聴こえにくくない?」

「聴こえにくいよ〜。けどな、めちゃくちゃ面白い番組もあるし、聴いてみたら?」って。

「音楽系の番組も聴くよ。でも気に入った音楽が、かからなかったりするし…」

ボウイに似た感じは、探すのは難しく。

パンクは音楽的に未熟?

オシャレの方向性も、合わない感じ。


彼は聴いてる番組の、どこがどんな風に面白いのかを、とにかく面白く説明してくれた。

「あのな、この人がまず面白いねん。なんかトボけた感じなんやけど。言うことも面白いし、考えるコーナーも面白い」

って。

まだカルト的な人気。全国区未満。

私は名前も顔も知らなかった、テレビに出る前の所ジョージ。

当時、深夜1時からの「オールナイト・ニッポン」を担当。

彼があまりに面白く、番組の話をしてくれたから、聴いてみてたくなった。

私は中2の冬から、FMで音楽を録音が目的に。

「お喋りするラジオは嫌い?」

「ううん。前は鶴光とか、あのねのねの番組も聴いてたし」って言うと、

「お笑い系好きなんや!なら絶対楽しいから良いと思う。火曜日の夜。明日の夜やから聴いてみて」とかなりプッシュされた。


バブル期には3高男子って呼び名があり。

彼は180センチ越え。

学歴は地区では1番の進学校。

中学から私立。家庭は普通以上?

3髙で顔は好みからは、ちょっとハズレてはいるけどカッコ良い。

怖かったけどオシャレ。

物腰は柔らかく、声も好きな優しい系。

難しいタイプだけど洋楽好き。

おまけに中身が面白いって。

反則だわ。


だいたい知らない男子高校生が、女子高校生に話しかける理由は3つ。

一番は相手が好きか、付き合って欲しいって告白の類い。

二番は「僕の友達が〜」とか「アナタの友達のあの子が〜」とか誰かを紹介して欲しい。

三番目は単なる友達に。

会話は一や二は無いから三番なのか?

待ち構えても無い。

こんな人が待ってるハズはない。

他にいくらでも可愛い女子はいた。

私は丸顔で平凡。

向こうは声を掛けるより、掛けらる人。

彼は見知らぬ女子から告白されるタイプ。

ちょっと怖い雰囲気で、話しかけるには勇気は必要な感じだけど。


別の沿線で超可愛い系イケメンで、男子校の人は女子から山盛り手紙やチョコを貰ったり、告白されたらしい。

彼は3学年上。積極的な女子はもう存在した。

女優の沢口靖子も、沿線では皆んなが知ってた美少女だったのは、事実として聞いた。

告白して男子らは振られて。

そんな人も世の中にはいる。

彼は高校生女子の一般受けは、少し低くめ?

が、3割ぐらいの女子には、強烈に追いかけられる感じ。

人気が高いスポーツ系男子てはなく、中性的な雰囲気だけど。


目的はわからない。

話し相手が欲しいなら、知らない人に話しかける?

変わらず距離も角度も縮まらず。

少しはこっちを見てくれたけど、目がキチンと合ったのは、最初に定期を拾った後だけで。

今も私の顔は見ずに話してる。


駅も混み始めた。

死にたくなって、踏み切りの警報器の音をひたすら聴いた。 

たから踏み切りの近くにいるのは嫌。

でも言えない。初対面なら尚更。

何となく会話を切り上げて。

改札口を出てまた踏み切りを渡る。

渡って私はすぐに右へ、彼は真っ直ぐ。

それ以降も別れる場所は同じ。

話してみたら楽しい人、面白い人。

話も合いそう。

目的はわからない。

一番と二番の話無く。

友達になりたいも、普通は似た雰囲気のある人を選ぶ?

元彼は雰囲気が近かったから、告白されても驚きはなく。

謎の美少年?


知らない人によく話かけられた。

道を聞かれる。外人さんにも。

顔に英語出来ます!とは書いてないけど。

多分目が合っても、逸らさないから話しかけてくる。

当時の日本は、外人さんを避ける人はたくさんいた。

が、彼とは目が合ったこともなく。 

私を見ていた感じも無くて。

いつ?どう?私を見かけてたのか?

テキトー?

覗き見してた?

知らなければ、目が合っても「アッ」とはならない。

帰り際も特に「明日もあの電車に乗る?」とも「明日から一緒に行く?」、も言わない。


明日からどうする?

誘われず。相手が話したいかも不明。

同じ電車に乗る?

時間を変えたら避けた感じに、嫌がってると取られる。

自分の人生で大変だったから、深くは考えなかった。

話して楽しかったし、朝も1人だから、また話してみようか。

出たとこ勝負にすることに。


ジャクソン・ブラウンの王子様感や、ダリル・ホールのカッコ良さに、やられてはいた。

が、その人たちは私には、実在の人ではなく。

別世界の人たちで、住んでる国も違う。

ボウイは貴族っぽい。

が、宇宙人かどこか異世界から来た人みたいで。

彼らは素敵な音楽や歌詞は作って、届けてはくれる。


が、彼は笑わせてはくれる。

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