第006皿 国家公務員向けカレー:KKRホテル東京「カレーステーション リラ」〈竹橋エリア〉

 施設の中には、飲食店が併設されている場合が多々ある。

 こう言ってよければ、今回の「スタンプラリー2025」において書き手が一番最初に食した「近江牛サウナカレー」を提供していたレストランは『RAKU SPA1010』内の食事処なので、ここもまた、施設併設のレストランに含めてもよいだろう。


 さて、今回の「スタンプラリー2025」においても、様々な施設併設のレストランがスタンプラリーに参加している。

 思うに、施設の性質が、そこに集う客の種をある程度限定し、さらには、そういった施設併設のレストランが提供するメニューを特徴付ける事も十分あり得る事ではなかろうか。

 例えば、浴場で提供されているカレーが、汗をたっぷりかいたサウナー向けの、いわゆる〈サウナ飯〉であったように、ホテルのカレーもまた、そのホテルの宿泊客に満足感を与える事こそに重きを置いたメニューになっているかもしれない。

 このように考えてみると、『KKRホテル』に入っているレストラン「カレーステーション リラ」のメニューも、もしかしたら、ここに泊まる主たる宿泊客を想定しているように思われる。


 「KKR」とは「国家公務員共済組合連合会」の事で、国家公務員の年金や福祉事業に関する業務を、加入共済組合として共同で行う事を目的に設立された組織だそうだ。その前身である〈財団法人政府職員共済組合連合会〉の設立は昭和二十二年、その後、昭和三十三年に、「国家公務員共済組合法」によって現在の名称になった、との事である。

 「国家公務員共済組合連合会」は、全国で〈三十一〉の宿泊施設を運営しており、ここ「KKRホテル東京」もその一つで、年金受給者や、組合員とその家族は割引でこの宿泊施設を利用できるらしい。

 つまるところ、「KKRホテル」とは、国家公務員向けの福利厚生施設なのである。


 とはいえども、この施設に、国家公務員以外の一般の人間が泊まっても問題ないし、いわんや、「KKRホテル東京」に入っているレストランもまた、宿泊客以外も利用できるようになっている。だから、国家公務員ではない書き手が、「KKRホテル東京」にランチに訪れても何らおかしな話ではないのだ。


 さて、『KKRホテル東京』では、十二階がレストランやバーなどが位置している飲食フロワになっていて、ここには、「日本料理 たけはし」、「展望レストラン 芙蓉」、「ダイニングバー リラ」といった飲食店が入っているのだが、この夜景を贅沢に望めるダイニング・バーが、ランチ・タイムには「カレーステーション リラ」として営業されている分けだ。

 「カレーステーション リラ」のカレーの提供方法は、いわゆる〈ビュッフェ(ブッフェ)〉、つまり、料理が並んだテーブルから〈自分〉で好きなように取る〈セルフサービス〉である。

 ここのカレー・ビュッフェの特徴は、どれだけの量を皿に盛っても構わない点にある。だがしかし、お代わりは不可、つまり、どれだけ盛るかは一発勝負なのだ。


 書き手が訪れた日に用意されていたのは、レギュラー・メニューの「ブラックビーフカレー」に加え、週替わりの「シュリンプカレー」、そして、七月・八月における夏休みの子ども向けの期間限定の「野菜ゴロゴロ甘口カレー」の三種であった。

 そして、書き手は、子ども向けを除いた、ブラックビーフとシュリンプの二種をアイカゲにして、皿に可能な限りのライスをモリモリ、カレーをナミナミと注いだ。


 週替わりのシュリンプ、いわゆるエビのカレーの色は薄い赤で、サイトの掲示では、辛さは五段階の一、たしかに辛さに物足りなさを覚えもした。

 そしてこれに比して、レギュラーのブラックビーフは辛く感じられた。

 ガイドブックによると、その特徴は、「じっくり炒めた玉葱が甘み」を「黒コショウ等のスパイス」が辛みを作り出し、その辛さと甘さが調和を醸し出している、との事で、なるほど確かに胡椒味が強く感じられる、そんな味付けであった。


 この「ビーフブラックカレー」は、ディナーの時間帯はテイクアウト限定ではあるが、朝食ブッフェにも提供されているそうだ。ちなみに、宿泊客優先らしいのだが、一般客も朝食を楽しむ事も可能らしい。

 とまれかくまれ、このブラックビーフカレーは、普段は国家公務員をメイン・ターゲットにしたカレーなのだ。もしかしたら、この黒胡椒の味わいこそが、このKKRホテルを利用者向けの味付けなのかもしれない。

 そんな事を考えながら、十二階という高い位置の窓から眼下に視線を向けながら、国家公務員向けのカレーを優雅に口に運ぶ書き手であった。


〈訪問データ〉

 カレーステーション リラ(KKRホテル東京十二階):竹橋エリア

 八月七日・昼・十三時

 カレー・ブッフェ:一三〇〇円(QR)

  ブラックビーフカレー、シュリンプカレー

 戦隊カード:♣︎K「ゴジュウジャー」


〈参考資料〉

 『神田カレー街公式ガイドブック2025』、五十七ページ。

〈WEB〉二〇二五年八月二十六日閲覧

 「KKRについて」、『国家公務員共済組合連合会:KKR』

 「〈リラ〉カレーステーションリラの平日ランチ」<「お食事」、『KKR HOTEL TOKYO』

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