鏡花水月

満月の夜

第1話

ふと空を見上げると、満月がきらきらと輝いていた。



それを見ると、頭がズキッと少し痛くなる。



「あの猫娘野郎……今日が満月だと知ってて買いに行かせたな」



ちょっとプリン食っちまっただけだろーが。



心の中で毒づく。



とりあえず、早く帰らなければ。



俺は少し足を速めた。





狼男。



それが俺だった。



銀色の髪に、灰色の瞳。



髪を染めてるわけでもなければ、カラコンを入れてるわけでもない。



それ以外は人と何も変わらない。



まあ、人も髪を染めてる奴なんて大勢いるし、少し目立つくらいだ。



背も、人の中では高い方だが、飛び抜けて高い訳ではない。



何も変わらない。普段は。

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