第1章 潮風に混ざる鉄 1-12
2人が殴り合いをしてるのをセバスは、ずっと眺めていた
そして、物思いに耽るのであった
セバスは、人魚姫の詠手であり
人魚姫の従者だった
このゲームに参加したのは、雇い主の娘であるお嬢様を死なせないため詠手になったが
セバスは、詠手になった事少しばかりを後悔しつつあった
何故なら、人魚姫の役割の恩恵が不死身だったからだ
お嬢様は、不死身を良いことに大怪我を負っても闘い続けるのだ
一度は、敵の攻撃でぐちゃぐちゃに潰されてしまった事もあった
しかし、怪我を負う度に回復速度や攻撃に対する耐性みたいなのが出来て
それで、さらにお嬢様は無茶をする
これではいつか死んでしまうのでは?と危惧する
不死身は、本当に不死身なのか?
全身を黒焦げになるまで焼かれても
数ミリ単位で切られても
全身の血を失っても
毒を喰らっても
死なないのか?
もし、お嬢様が死んだら自分の責任になり雇い主に通報され逮捕されてしまうのでは?
そう考えると、スキルで支援出来るとはいえ目の前でお嬢様が瀕死の様な状態になるのを見続ける事にストレスを覚え始めていた
だが、お嬢様を見捨てて他の人に詠手を交代させるという勇気もない
もういっそ、このまま赤頭巾の少女に負けて欲しいとすら思ってしまった
そうやって、棒立ちで思考していると後ろから声をかけられる
「スキル書を地面に置け」
声のした方向を見るととそこには、赤頭巾の詠手の青年がスキルで出した銃をこちらに向けていた
ああ、これで負ける理由が出来たと安堵して、言われた通りにスキル書を下に落とした
そして、降伏の意を示す為に両手を上げた
「おいっ、人魚姫!
お前の詠手は、投了したぞ
だから、お前も諦めて装飾を渡せ」
赤頭巾の詠手がお嬢様に訴え掛ける
ふり返ってこちらを見たお嬢様の顔は、驚愕の色に染まっていた
「セバス…、何故貴方は、
私が負けそうな状況で笑っていますの?」
そう呟く人魚姫は、セバスに対する怒りで爆発寸前だった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます