第1章 潮風に混ざる鉄 1-4

「渡すわけないだろ」


メアは、言うや否や発砲する

しかし、水の中に逃げられ外す


「メア、背中合わせで見張るぞ」


これで、攻撃を避けることは出来るはずだ

そうして、周りを警戒していても何秒経っても人魚姫が現れる気配がない

なら、このまま走って逃げようかと思っていた矢先

水弾が降って来てめあの左肩に穴を空ける


「ぐっ」


歯を噛みしめ体制を崩さぬように耐える


水弾が降って来た上の方を見上げると

電柱から上半身を出してこちらを狙っている人魚姫が見えた


「貴方達は、もう詰みですわ」


ヤツの言う通り上から狙われて

水弾を防ぐ遮蔽物も無く、周りは水溜まりだらけで逃げようものなら

足に付いた水の足跡を辿られて背後を狙われる


詰み


敗北



そんな言葉が脳内を駆け巡る

しかし、まだ死ぬ訳にはいかない

何とか打開する策は、無いかと辺りを見回す

すると、最初に人魚姫が立っていた塀の所が少しおかしい事に気が付いた

明らかに塀の横に人がいるような影の付き方だった

こちらからは、うまく隠れて見えないが、じっと見ていると

一瞬だけ本を手に持った男性がこちらを覗いて来た

もしかしてと思いめあに指示を出す


「メア!

 あそこの塀の横に何としてでもいいから攻撃を届かせてくれ」


「了解!」


メアは、塀の近くにある看板の柱を立て続けに3発撃った

そのうちの1発が跳弾でちょうど塀の横にいく


「うっ、ぐ」


と言う呻き声が聞こえたかと思うと

木の後ろから男性が倒れて来た


「セバスっ」


人魚姫は、焦った様にそう叫ぶと

慌てて倒れた男性の方へ駆け寄って行った


「今だっ!メア電線を撃て」


メアが指示通り電線を撃った

そして、電線に命中し電線が切れ垂れ下がって来た

そのまま、電線は人魚姫が使っている水路の上に触れるその直前に、俺はメアを抱えながら水溜まりを越えるため大ジャンプをした

肩から地面に落ちたが何とか水溜まりを越える事は出来た


人魚姫は、電気をもろに食らって気絶していた

このまま装飾を奪おうかと考えたが水溜まりには、電線が触れたままなので感電するので

ここは、撤退の一択しかない


「メア、一旦逃げるぞ」


「了解」


俺とメアは、その場から全速力で逃げ出した

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る