起きていない殺人事件
猫サカナ
寝起き探偵
「はぁー、特にこれと入った依頼もないし暇だなぁー」
このむんむんとした暑い日本の夏にやられ1人の男がソファーで寝転んでいた。
「七瀬先輩はいないし俺への依頼もこないし、これじゃあねぇー」
男は文句を垂れながらも急にふっ、と立ち上がり周囲を見渡した。
「よっと、ふぅー今何時だ?って、もう12時じゃん...」
「どうりで寝てても腹が減ってるわけだ」
「しょーがない、暑いしいつもの清水に行くかねぇー」
補足
清水とはよく昼食に男が通っている
蕎麦屋のことである
チャリリンと
気持ちがいい鐘の音と昔はよく訪れていた祖父母の家を感じさせるガラガラと鳴る引き戸の音に少しの飽きを感じつつも男はいつものカウンター席に座る。
清水はカウンターと座敷で構成されており至って普通の下町の蕎麦屋に見える、高層ビルとデジタルな世界に身を包んで暮らしてる現代人からしたらこれも風情なのかもしれないが、常連の男に言わせてみれば風情なんかありもしない。
「大将ーいつものもり蕎麦でー...」
清水への道中で太陽にジリジリと体を蒸されたからかぐっちょりとして少し冷たくなかなかに気持ち悪い状態の汗が湧き出る、椅子に座り少し落ち着いたからか水を一気飲みしたがあふれ出る汗はとどまることを知らないようだ。
「あいよ」
雨宮が大将と呼ぶこの一見無愛想に見える大将だがじつは、気さくな人でよく客と話を長話をしている蕎麦を茹でるいとまに、大将は男に話しかける。
「最近どーよ、雨宮」
「どうもこうもないよー大将...」
「七瀬先輩は相変わらず忙しいし、所長は所長で経営管理ばっかやっててその上岐曽部まで最近は依頼が来てるんだぜ...」
そう最近の愚痴を大将にぶつけているうちに
どうやらそばが茹で上がったようだ、
シャッシャッと聞いてて気持ちのいい音が目の前で聞こえてくる。
「ほい、かけそばお待ち」
「おっ、ありがとな大将」
男は待ってましたと言わんばかりにさっきまでの気だるげな感じから一気に体を奮い立たせ、ズズズと鳴らしながらそばを頬張る。
「やっぱ大将の蕎麦が一番だわ」
「おっ嬉しいこと言ってくれるねー、にしてもよどうすんだよ」
「えっどうすんだよって?」
急に問いかけられた問いに戸惑い咄嗟に質問を質問で返してしまう。
「仕事だよ仕事」
「あぁー仕事のことね」
「ちゃんと今後のこと考えてるのか?」
「わーってるよ、ちゃんと考えとるわ」
「さっ、どうかな」
大将はいつものようにはぐらかそうとする雨宮に対し反抗的な息子を小馬鹿にするように対応する。
「だいだいな、大将はお節介すぎるんだよ」
「おぉー、いつからお前俺に対してそんな口聞けるようになったんだよ」
「へいへい、あっしがわるうござんした」
「ふっ」
「あっ、笑いやがったな?!」
そう、側から見たら親子の会話のようにも聞こえる会話も突然打ち切られる
「くっそー、大将ときたら「おっ、いたいた、おーい」
探している人が自分だとわかり雨宮は反応する。
「なんでしょうか?」
さっきまでの態度とは異なり急に態度を軟化させる雨宮の目には自分がよく知ってる男がいた。
「ってなんだよ、お前かよ」
「お前かよってなんだよ、悪かったな俺で」
「別に悪なんて言ってねーよ」
笑いながら店内へ入ってきた男は雨宮の学友であり同僚の岐曽部だった。
「おっ岐曽部じゃないか、お前もそば食べにきたのか?」
「いや、今日は別の場所で食ってきたからいいよ後俺はこいつみたいな無類のそばバカではないんでな」
「なんだよ、そばバカって」
岐曽部の言葉にすぐさま反応する
「そうか、やっぱ雨宮はそばバカだったか」
「ちょっ大将までバカにすんなよ!」
大将は店内に響き渡る声ではっはっはと笑う。
「そういえば店長質問があるんだけどさ]
「なんだぁ?」
「最近、店人多くない?」
「あぁ、そのことか夏ってゆうのもあるが最近なテレビに取材されたんだよ!」
そう嬉しそうにまるで新しいゲームを買ってもらった子供のように満面の笑みで大将はで語る」
「なるほどねぇー、どうりで最近人が多くなったぁ、って思ったわ」
岐曽部と対象が身内話をしているうちに雨宮はちゃっちゃとそばを食べ終え食後の蕎麦湯を飲んだ。
「大将、ごちそうさま」
「あいよ」
大将に料金を支払い、外で待っていた岐曽部と合流し今日は事務所へより道せずに向かうことにした、このところ日差しが暑くて飯を食いに行って帰りにコンビニでアイスを買うことが習慣化していたのだが、岐曽部がいる手前アイスを買ったらおごらされそうな予感が脳をよぎったので、今回はコンビニに行くことはやめにしそのまま行きと同じ道を進む。
「なぁー岐曽部」
「なんだよ、急に」
「最近の依頼はどうなんだよ」
大将の言葉をそのまま受け売りしたまま、あたかも今思いついたかのように質問した。
「あぁ、そのことか」
「最近は〜、まぁよくあるパートナー間でのもつれの話が多いかな」
要は浮気や不倫だ。
彼女が人生で一度もいたことがない雨宮にはパートナーがいるのに浮気や不倫をする意味がわからない。
まぁ、こうゆうのはこの空の色を知らない人に空の色を教えるぐらい不可能なことだ、もっとも浮気や不倫を犯す人間の気持ちなど誰にもわかりもしないと思うが。
「ふーん、やっぱり男女間でのトラブルねー」
雨宮からはどこか、回答を予測していたようだが別に何かに期待していたようだ、しかしどうやら期待していたことは聞けなかったらしい。
「お前わざわざ聞いてきた割につまらなそうだな」
「もう飽きてるんだよ、浮気とか不倫の話はもっとこう俺が聞きたいのは刑事事件を解決する探偵なんだよ」
「刑事事件ってお前、それを解決したかったら警察官になればよかったじゃないか」
「あほか、警察じゃなくてただの探偵が捜査に参加して解決するのがいいんだろうが、要はロマンだよロマン」
「ロマンねぇ」
ほーん、と興味が無さそうな素振りをしている。
事務所までの道のりは現在地から100メール進んだ先を右に曲がりその50メートル先だ、
燦々とした太陽に背中を刺されながら永遠にも感じる道のりを気怠い体を動かして進む。
「ふぅー、あぢー...」
「ほら、後少し何だから頑張れよ」
「なんでお前はそんなに元気なんだよー」
この日の気温は35度以上、限界な頭を回して放った言葉からは疲労を感じる。
「そりゃ、いつも運動していない誰かさんと違って毎日はしてないが運動はしてるんでね」
「あー、その誰かさんって誰なんだろうー」
思わぬ返しの言葉には知らないふりを通す。
「さぁ、お前が駄弁ってるうちについたぜ」
「やっとか...」
雨宮は、あぁーと背筋をピンと伸ばし体をほぐす
「暑いから早く中に入ろうぜ」
先に自動ドアの前にいた岐曽部から催促される。
「あぁ、わかった今行く〜」
事務所所内
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あぁーとゆっくりソファーに腰を下ろし体重をこの魔獣に委ねていく、この気温でやられたのだ、きっと彼らからしたら冷えた部屋で座るソファーほど恐ろしい魔物はいないだろう。
うぅーと唸りならソファーに体を預け、ぐったりと横たわる、
一時間ぐらいたった後だろうか。
だがそんな時間も突然の一声で終わりを告げる。
「おっいたいた」
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