第1章 ◆スン視点

日本の温泉は、やっぱり最高だ。

何度来ても、湯気に包まれてるこの空間は、気持ちがほどけていく気がする。


「スン、完全にオフモードだな」


「ここじゃ誰も気づかないし、たまにはリラックスさせて」


友達のヒョンジュンと笑い合いながら、湯船にゆっくりと身を沈める。


表の世界では“LUMINOUSのリーダー、スン”として、常に見られることを意識しなきゃいけない。


でも、今だけは普通でいられる気がした。


それも全部、ヒョンジュンのおかげかも知れない。


ヒョンジュンは中学からの親友で、僕がアイドルになってもからもお互いにいい関係が続いている。


「お前、温泉好きすぎだろ」


「だって日本の温泉、最高じゃん」


外の風が、ほんのり肌に当たる。


隣は女湯みたいだ。


うっすらと笑い声が聞こえるけど、内容までは分からなかった。

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