第5話

「雨じゃん!!」

希美は嘆く。

「天気予報見てなかったのかよ」

「だって行きたかったんだもん!!」

俺の部屋で窓の外を見つめる。

「あーあ。これじゃ向日葵もそっぽ向いちゃうね」

「明後日なら晴れるらしいぜ」

「うーん……じゃあ明後日に変更!今日は秀の部屋でゴロゴロしよう!」

「いや、家に帰れよ……」

そんな言葉も無視して本棚を漁る。

「年頃なんだしいやらしい本とか無いの〜??」

「ある訳ないだろ……」

呆れ返っていれば、雷が落ちた。

「きゃあっ!?!?」

驚く希美。

そういえば、雷苦手だったな。

「秀〜……」

半泣きになりながらこちらを見る。

「布団、被っとけよ。そしたら多少マシだろ」

「そんな……何するの!?」

「いや何もしないわ」

戯言を吐いていればまた雷は鳴る。

「う〜〜……!!」

大人しくベッドに潜り込む希美。

「ほんまに何もせんの〜??」

「こぐ……」

後ろからふわりと現れる。

「する訳ないだろ。ただの幼馴染なんだし」

「へぇ、好きなんかと思うてたわ」

「はぁ……神様も男女が2人だけでいたらそういう考えになる訳??」

「そうした方が子孫残せて地球は回るからなぁ」

くつくつと、また口元だけが笑う。

「……んでな、秀君。悲報や」

「悲報??」

「あの雷、自然現象やないで」

「またあの怪物みたいな奴か??」

「せいか〜い。さ、弓持って行こうか」

「あの時だけだって言っただろ」

「え〜??希美ちゃんも、家族も、クラスメイトも。みーんな死んでまうよ??」

その言葉に揺らぐ。

「ほらほら、早うしてや」

「でも希美が……」

「あ、大丈夫やで。しばらく眠らせといたから」

「……は??」

「神様舐めんでや??人間ぐらいなら何とでもなるねんて」

こぐの言葉は一々腹が立つ。

「さ、行こうや。救世主様」

「……言っとくけど、お前の為じゃないからな」

そう言って弓を持って、俺は家を出た。

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射たその先には @mono_99

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