〔こういうのでいいんだよ。異世界転生物語〕チートな能力<インタフェース>を手に入れたので前世でできなかった自由な暮らしを実現したい!!

新山田

第1話 廃教会より


突然ですが、わたくし浅井かずちか。異世界転生いたしました。

理由?さあ、さっぱり分かりませんよ。

なんせ僕ときたら社会人としてまあまあ性能の低い分類でしたし。

選ばれる心当たりなんてあるわけがない。

だけれどもそんなことは、まあ。はしたない事でございますよ。

意味はなくとも生まれたのだから、せいいっぱい生きるに限ります。


……でもどうせなら人生謳歌を盛大に歌いたいのですよ。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


[<視界機構インタフェース>────起動]

[各種機能の作動チェック:開始────]

[機能<立体構造地図ミニマップ>……起動]

[機能<資材格納アイテムボックス>……起動]

[機能<情報表示ステータスチェック>……起動]

[機能<指示案内表記ナビゲート>……起動]

[機能<情報編纂ライブラリ>……起動]

[機能<能力開盤スキルツリー>……起動]

[各種機能の作動チェック────


止めどなく流れる情報の滝。

どうすることも出来ないのでジッとその様子を眺めております。

……ハプニングは圧して過ぎるのを待つべし、とね。


────完了]


……おっとそんな戯言の最中にようやく最終工程に入ったようです。


[ステータスチェック:開始────]

[レベル:1]

[スキルポイント:6666666666666]

[スキル:なし]


[ステータスチェック:確認完了]

[最終工程────思考領域への接続────]


なん……だと。ぐえー!脳内を直接触れられているような、気分だ。まあ、脳みそに直接触触られたことなんてないんだけど、ネ!……なんて間に電子の海を頭の中に流し込まれて、揺蕩う僕の自己意識さん。呑み込まれないように必死に泳いでいると少しずつそのいなし方の感覚を掴めてきた!


────完了]

[最終チェック────意識:覚醒]


「んッは!」


勢いよく体を起こしてみると、自分が廃れた教会のなかにいたことがわかった。

ステンドグラスから零れる日差し、瓦解した壁の隙間からは姿を見せるツタの累々たちが伸びている。まるで自分たちの領域だと主張しているかのようにも見えた。


「神秘的な場所だ」


極めつけに、天上のすき間から伸びた光柱がよりその印象を強くしていた。


「うっへ!ホコリ臭いな~もう」


写真で見るのと、実際に体験するのでは全く違う経験になるように。

いかに神秘的なところでも、匂い一つ、埃一つで印象はガラリと変わるもんだ。


「はやくここから出よう」


目の先にある崩れ落ちそうな扉に足を向ける。そこに『チューチュー』といういやに聞き覚えのある獣の鳴き声が聞こえた。


「ネズミ!ん?」


それも1メートルほどの体長の二つの牙を持つ大きなネズミ。インターフェースの機能の一つ<情報表示ステータスチェック>が反応して目の前のネズミについての情報を見せてくれた。


──────────────────────────────

種族名〔ビック・ラット・ポーク〕

・基本情報(◇該当スキル<インターフェース>:情報開示

└サイズランク:成熟(KING

└レベル:Lv20

・生物情報(◇■■■■(該当スキル未取得)非開示

・素材情報(◇■■■■(該当スキル未取得)非開示

──────────────────────────────


うむ。分かったことは3つ。

知りたい情報を閲覧するにはインターフェース以外のスキルを有していないと見れない、ということ。そして目の前にいるモンスターは〔ビック・ラット・ポーク〕というネズミなんだかブタなんだか分からない摩訶不思議生物だということ。レベルは20と今の自分よりは断然につよいみたいなので────


「────忍び足っと」


そそくさとこの場を去るように抜き足差し足で慎重に────バキッ!とお約束のように木片を踏みつけて大ピンチ発生!


「やあ!」


敵意は無いよ、の意味を込めて穏やかに手を挙げる。


「シャー!」


うん!無理でした!────大きなネズミは威嚇がてらに牙をむき出して飛び掛かってきた。……でもなぜか動きが遅い気がする。


「うおッと!」


〔ビック・ラット・ポーク〕の牙攻撃の軌道線上から逸れるように体を捻って避ける。するとどうだろうか、インターフェースの機能<能力開盤スキルツリー>が反応。


[スキル取得条件達成────<回避>スキルが習得可能になりました!]


一定の行動でスキルを習得できるようになる仕組みなのか。はいはい了解。であれば早速────


[<回避>Lv0/10:≪□□□□□□□□□□≫]


────を。


[<回避>Lv10/10:■■■■■■■■■]

[<回避>はLv10になり最大レベルに達しました!]

[〔アサイ〕はレベルが10になりました!]


ポイントを消費して最大レベルに。

ついでに僕自身のレベルも上がったようだ。


「シャー!」

「まったく!いま異世界転生で一番気持ちのいいトコロなんですけどォ!」


まさに体が勝手に動いた、と言うほかない。それほどまでに自分の体とは思えないほど無駄の無い動きで完璧にそして紙一重に〔ビック・ラット・ポーク〕の攻撃を回避したのだ!


「シャー!シャー!シャー!シャー!シャー!」


それにイラついたのか、爪の連撃を繰り出してきた。


「でもぜんぜん。これっぽっちも当たる気がしないな!ハハハ!ハア……」


急激に体力の底が尽きた。考えてみれば当たり前だ、こんな大立ち回りをしていてはスタミナの無い僕などすぐに力尽きるにきまってる。


[スキル取得条件達成────<スタミナ上限>スキルが習得可能になりました!]

[スキル取得条件達成────<スタミナ回復>スキルが習得可能になりました!]


ご都合主義ここに極まれり。……でもこれでいいんだよ!はい!ジャンジャンいこう!


[<スタミナ上限>Lv10/10:■■■■■■■■■]

[<スタミナ回復>Lv10/10:■■■■■■■■■]

[〔アサイ〕はレベルが30になりました!]


前身から活力がみなぎってくるのを感じる。これなら何度でも〔ビック・ラット・ポーク〕の攻撃を搔い潜り続けられるぞ!……でも────


「────如何せん!攻撃手段がないな!」


一生ここで避け続けるわけにもいかない。だからと言って相手が諦めるのを待つのもしんどい。撃退、もしくは退治が好ましいけど。そういうスキルを得るには一定の反撃が必要なハズ。ならば!


「攻撃してみるに限る!」

「シャー!」

「ジャブ!」


爪の先を寸先で避けつつ、がら空きの横腹を拳で突いてみる。あんまり効いてる様子はない。けど続ける。


「シャー!」

「ジャブ!」

「シャー!」

「ジャブ!」

「sy……ッう!」


おお!効いてるぞ!


[スキル取得条件達成────<拳撃>スキルが習得可能になりました!]


やったぞ!


[<拳撃>Lv10/10:■■■■■■■■■]

[〔アサイ〕はレベルが40になりました!]


「シャー!」

「ジャブ!」

「びゃ────ッッッ!」


『シャー』の合図でおもわず差し込んだジャブ。それが〔ビック・ラット・ポーク〕を吹き飛ばした。そんなに力を込めていたわけじゃないのに……なんだか恐ろしい武器を手に入れてしまった気がする。


「ぐぎゅー」


という鳴き声を合図に〔ビック・ラット・ポーク〕との戦いに勝利した。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「チュッチュッチュッチュッウッッッ!」


やっとこさ解決したと思った矢先にまた聞き覚えのある鳴き声が。もう一戦開始ですか、と声の先に目線を合わせるとそこにはネズミがいた。いや。ネズミはネズミだがさっきとは打って変わってなんというか────


「────耳の大きな、ネズミだ」


そして小さい……いや。さっき相手にしたのがデカかっただけ、だ。

ネズミと言えば思い浮かべるサイズはあのくらいだろう。

それよりも特徴的なのはあの耳、からだの半分以上の大きさがある。

それに光のいたずらなのか、白い毛はとてもあでやかでキレイに見える。


「チュッチュッチュ!」


白いネズミが手招きする。すると教会の影からひょこっと同種のネズミたちが顔を出した。彼らは白いネズミのまわりに集まりこちらに指を差して、仲間同士でなにやら話をはじめだした。


「チュッ!」

「チュッチュ!?」

「チュッチュチュチュウウ!」


全員が白いワケじゃあないんだな……なんというファンタジーな光景な井戸端会議を見つつこの間に、ステータスをチェックさせてもらお、っと。


──────────────────────────────

種族名〔エレラット〕

・基本情報(◇該当スキル<インターフェース>:情報開示

└サイズランク:成熟

└レベル:Lv5

・生物情報(◇■■■■(該当スキル未取得)非開示

・素材情報(◇■■■■(該当スキル未取得)非開示

──────────────────────────────


ふむふむ。あの可愛らしいネズミたちは〔エレラット〕という種族らしい。


一匹の白いネズミが群れのリーダーなのだろうか?……ずっと話の中心にいるらしいことだけは分かる。────いったい、なにを喋っているのだろうか……?


[スキル取得条件達成────<小さな霊長類語>スキルが習得可能になりました!]


おお!やったぜ!動物と喋れるだなんて!レベルアップ!レベルアップ!


[<小さな霊長類語>Lv10/10:■■■■■■■■■]

[〔アサイ〕はレベルが50になりました!]


「チュチュt────あのニンゲンは”ブタ”を倒した恩人よ!」

「そうだが!でもニンゲンだ!言葉は通じないゾ!」

「でもせめてなにか恩返ししないと!街の連中と同じになってしまうわ!」

「恩返しって……ニンゲンが喜ぶモノなんて知らないゾ」

「それはそうだけど……」

「それに!恩返しはココから追い出してからでもできるわ!」


おっと。すっごいもめ事が起きているようだ。


「え、えっと。その。出ていきましょうか?」

「「「ええええ!?」」」


〔エレラット〕たちは驚きのあまり口を開けたまま硬直してしまった。




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〔こういうのでいいんだよ。異世界転生物語〕チートな能力<インタフェース>を手に入れたので前世でできなかった自由な暮らしを実現したい!! 新山田 @newyamada

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