最強の下剋上

もふもふなライオン

第1話 目覚め

見覚えはあるがはっきりと誰かわからない、右目は空や海のような美しい瑠璃色に対し左目は濃く黒い深淵のような赤暗色をした25くらいの若者が手持っている神々しく光っているものを享の胸にかざすと享に吸収されていった。


「!?」

「なんだ、今の、夢は。」


寝ていた高校生くらいの若者、名を神通享という。


「…誰だ?今見た人は?」


疑問に思いながらも、「まあ、関係ないか」と思いながら憂鬱な体を起こす。

まさか、今の夢が人生を変えるということも知らずに...


天照院学園。


神通享はそんな学園に通う学園生だ。


そしてこの世には残酷で逃げられない現実がある。

それはスキル及び魔法主義であることだ。


肉体が強靭なものはスキルや魔法を使えず、いじめの対象となったり、便利な肉壁として働いたりする。


逆に肉体が貧弱なものはスキル及び魔法の適性があり、それだけで優遇されたりする。


そして1番の理由はスキル及び魔法を取得すると、肉体がスキルに耐えられるように、肉体を強くする。


つまり、スキルが多くなるほど、肉体が強くなるのである。


神通享はこの世の中で分けるとするのならば前者に位置する。


さらに言うとすれば肉体が強靭すぎてスキル及び魔法を使う未来がない。魔力はあるが、その資格がないのである。


つまり他の肉体の強靭なものに比べて将来性がなく期待もされていなかった。


それなのに天照院学園に享が通えている理由。それは学園長が「なんとなく。強いて言えば頭がいいから。」と言ったからである。


まあ、そんなことを言えるのは今日で最後であるが。


この学園は教室によって強さが変わる。


このアルファベットはこのまま成長して行った時の推定ブレイカーランクを表したものである。


ブレイカーというのはダンジョンを破壊し世の中を安定させる職業のことだ。

5つのランク(クラス)に分かれており、

魔物のランクと同ランクならば安定して倒せる程度だ。(あくまでも基準である)

魔物のランクごとの強さでいうと


Eランク(雑魔) スキルを持っている者ならば対処できるレベル。スライム、小鬼ゴブリンなど。

Dランク(下級魔物) 村一つを壊滅できるレベル。狼型魔物、小鬼隊長など。

Cランク(中級魔物) 熟練ブレイカーでやっと倒せるレベル。大鬼オーガ蜥蜴族リザードマンなど。

Bランク(上級魔物) 小国を脅かすレベル。巨人族、ワイバーン、リッチ。

Aランク(災害級) 都市を滅ぼせるレベル。ドラゴン、魔王の眷属クラス。


基本この5つではあるがこの枠組みに収まらない者もいる。


その最たる例が「Sランク(災悪級)」と呼ばれる者である。

これは一つの国の総戦力の半分を犠牲にする強さを持つ。

享はこのどれにも当てはまらない人類史上初めてのFランクであった。


享が教室に入るとそこには一つの机だけが置かれており、教壇には白髪で背の高いエルフの男。

天照院あまてらすいん蓮司れんじ学園長が立っていた。


蓮司「おはよう」


享「おはようございます...」


享は蓮司が直々に招待し、なぜか特待生として入学していた。


席に座り魔物についての授業を開始した。


入学してから一週間ほどしか経っていないためスキル及び魔法の会得方法、魔力について習った。


スキルとは資格のあるものが条件を達成することで入手できるもの。

魔法を形式化したもので、魔力を消費することで発動できるもの。


魔法とは魔力のあるものが魔法の構成を理解し、想像力や使う魔力の量によって規模が変わるというもの。


魔力とは空気などに含まれ、心臓や肺を使い丹田にためているもの。


あとは使えもしない魔力やスキル、魔法の使い方を教えてもらった。


帰る支度を済ませ、教室を出て、靴を履こうとした。その時、靴の中に紙があったのでそれを見ると

「裏山に来い。」

と書かれていた。


裏山は学園の裏の方にある整備のされていない森のような場所である。


行かないこともできるが、行かなかった場合、仕打ちがひどくなるかもしれないため、

仕方なく裏山に足を運ぶと、


「よお、来たか」


と3人いるうちの1人、秀人ひでとが声をかけた。

そのあと


「待ちくたびれたぜ?」


秀孝ひでたかが言った。

すると明秀あきひでが魔力を込め始めたのを感じた。この3人は全員Cクラスだ。


入学式の後ここにこの3人にスキルや魔法の試し撃ちに連れてこられたことがある。


明秀が「もういいよな?さんよ。」


と言い魔力を魔法に変え、手をこちらの方にかざすと、フレアと叫ぶように言うと享の地面に魔法陣が現れ、燃え始めた。


享「熱っ、熱」


その直後に秀孝がウォーターと叫ぶと享の上に魔法陣が展開され水が出てきた。


秀孝「熱そうだったから水で冷やしてやったぜ?」


そう言うと、次に


秀人「これはくらったことないよな」


と言い終わった後、サンダーと叫んだ。

すると手から魔法陣が出てきてそこから稲妻が享の方に向かい、享は痺れた。


それからも土、風、闇の下級、光の下級というふうに魔法を享に放ち、秀人がスキル 狂戦士バーサーカーを使い享をタコ殴りにすると疲れたのか、享をおいて帰った。


途中で特待生はお前なんかが持つものじゃなく俺たちが持つものだと粋がっていたが何も持っていないものの嫉妬は醜いとはそう思った。


スキルや魔法を人間に向けて放つのは犯罪であるが皆その行為に気づいたとしても将来性のないFランクだから仕方がないと見て見ぬふりをするのだった。


享は裏山から出て校門まで行くともう下校時間から1時間ほど経っていて誰もいないはずなのに人が立っていた。こちらを向くと。


全てを見通しているような黒く淡い瞳に、艶のある黒い肩くらいまである髪が靡き、通る人が皆、注目するような美少女であった。


「どうしたの?その傷。」


と言い駆け寄ってきた。この女性は入学式が終わった後に告白してきた一之瀬美羽いちのせみうという人である。

美羽が来た時


享「別に、ただちょっと転んだだけ。」


と享は心配をかけたくないのかそんなことを口にした。


美羽「嘘でしょ。絶対転んだ後じゃない。」


当然である。享の学生服は焦げた跡や水の滴った跡などがありどう考えても苦しい言い訳を言っていた。


享「まあ、別にいいでしょ、そんなこと。」


美羽「そんなことで終わらせないで。」


享「(はぐらかすように)帰ろうぜ。」


帰宅の途中、享が


享「なんで俺のこと好きになったんだ?」


美羽「ん〜。なんとなく?」


享「そんなわけないだろ。Sクラスである美羽が俺みたいな最底辺好きになるわけないだろ?」


美羽「でも、本当になんとなくなんだよ。享くんを見た時に君しかいない‼︎と思ったんだよ。」


そんなことを言ったあと夜ご飯の話やクラスであったこと、マイノリティ側にしかわからないことなど、

他愛のなことを話しながら気がつくと美羽の家まで着いていた。


享「じゃあ、また明日。」


美羽「うん!また明日。」


その会話の後享は家へ向かった。


その途中に享は、スキルがあれば、魔法が使えれば、もっと美羽の隣に自信を持って立てるのにと強く思いながら向かっているといつのまにか家に着いており、鍵を開け家に入ると、


享「ただいま。」


と誰もいるはずがない家に言った。


享(今は学園長が学費や生活費などを特待生ということで援助してもらっているが...。)


そんな不安を追い払いながら課題を終わらせて明日の準備ができ、歯磨きをしようと洗面台へ行く途中突然、眩暈と強烈な睡魔が襲ってきた。それに耐えられなかった享は、ベッドまで行き横たわると


世界「ス…ル 任…獲得、同…に…キル …獲…」


と聞こえたような気がした。




目を覚まし、スキル確認をすると、


スキル 任務ミッション

スキル ゲート


の2つを獲得していた。


その2つを説明すると

スキル 任務は常時発動している珍しいスキルで書かれている自分で任務を作り達成することで見合った報酬を手に入れることができるといったもの。


もう一つのスキル ゲートは空間に扉を造ってどんなところにでも一瞬で行け、さらに無制限に使えるという

前代未聞のスキルだった。

享は歓喜した。将来性がないと言われた。これから都合よく扱われると思っていたところに2つのスキルが手に入ったからだ。


……これが享の人生の転機である……



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筆者

初めての執筆だったので大目に見てくれると幸いです

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