第十七話 お見舞い

 大愛が起きて少しした後に特に体に支障のなさそうな咲綾が何かを持って部屋に入ってきた。


 咲綾はいつもの雰囲気とは変わって、少し楽しそうな感じだった。だが大愛が起きていることに気づき、いつもの恥ずかしがり屋な雰囲気に戻った。


「あっ…あのぉ…」




 咲綾は大愛に小さな声で話しかける。


 大愛は返事をしようとするが声を上手く出すことが出来なかった、それに気づいた咲綾は「無理しないで」と答えてくれた、そして2分程沈黙が続き咲綾が手に持っていた箱からなかなかに高そうなドーナツを取りだし、大愛に「たっ…食べ…る?」と聞いた




 大愛はいきなり聞かれたため少し考えて、机に置いてあったスマホで(いいの?高そうだけど?)


と記入して見せた、咲綾は何度も頷いた、そしてなにか閃いたかのように自分のスマホを取り出しメッセージアプリLYAINリャインの画面を見せてきて囁くように「アプリ…ある?」と聞いてきた、もちろん現代社会でスマホを持っている人間がこの連絡の他にも通話や映像の観賞もできるこのアプリを入れていないはずがない。




 大愛は頷くと咲綾が友達交換の画面のQRコード見せてきた、それをスマホで読み取るとすぐに咲綾から連絡が来た


(どれがいい?)


 先程のドーナツの話の続きだったため大愛は


(どれでも大丈夫だよ)


と返した。すると咲綾は自分が食べるであろういちごチョコレートのかかったドーナツとホワイトチョコレートがかかったドーナツを取り出しホワイトチョコレートの方を渡してくれて一緒に食べた、考えてみれば久しぶりの甘味でとても美味しく感じた。




 食べている途中に咲綾から(体調は大丈夫?)と連絡がきた声が出ないこと以外に特に体に支障は無かったため(声以外は大丈夫だよ!)と返すと咲綾はほっとしたような表情をした後に書類らしきものを出して渡してきた




 そこには学園からの課題や授業の内容など様々なプリントが入っていた。




 学園は毎日必ず通わなければ行けないわけではないが、研究所に1週間居たり、警察に捕まったり現在進行形で入院してたりして初登校から2ヶ月たっていた、そりゃあこんなに溜まるわけだと大愛は思い咲綾から受け取る、だが思うことがあり咲綾に聞いてみた


(どうして咲綾が?先生に頼まれたの?)と聞いてみると(うん、それと2週間後にテストがあるよ…勉強頑張ろうね!)




 と帰ってきて大愛は絶望した。赤点を摂る訳には行かないためすぐにペンを取り勉強を始めると咲綾はふっと笑って勉強を教えてくれた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る