実際にあった、我が友の悲劇
テマキズシ
さらば我が友よ。お前の死は、忘れない
【注意】これは実際にあった、我が友の悲劇である。
精神的ショックの強い話となっているので、特に男性は読む際に覚悟を決めて読んでください。
ある日、私は友の家に泊まっていた。
我らはとある戦場を乗り越え、二人でその祝賀会を行っていた。
戦利品を互いに見せ合い、その素晴らしさに酔いしれていた時、悲劇は起きた。
「ただいまー!」
「「!?」」
友の姉が帰宅したのだ。
本来ならば今日、ここには帰ってこない姉の登場に我らは慌てふためき、咄嗟に持っていた戦利品を隠した。
そしてほぼ同時に友の部屋が開き、友の姉が姿を現した。
立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花。
昔の本で読んだことのあるこのフレーズ。
芍薬の花のように、すらりとした立ち姿が美しく、牡丹の花のように、座った姿が堂々として美しく、百合の花のように、歩く姿が優雅で美しいという、美しい三銃士がそろった美女。
何より胸が豊満で、つやつやとした髪が素晴らしく、目の前で脂汗を流す脂肪系巨漢の血縁だとは思えないほど神秘的な存在。
後々聞いた話によるとどうやら義理の姉のようだった。
てっきりDNAの神秘かと…。
その美しさに一瞬私の時は止まるが、すぐに気づいた。
……彼女の視線は我らの後ろ。戦利品に向けられているということに。
「ね、姉ちゃん!? な、何で!? きょ、今日は友達の所で泊まるって!」
「友達が熱で倒れちゃったのよ。だからこっちに戻ってきてね。……というかこれ、まさか」
「わー止めて姉ちゃん! ちょっとホントにマズイやつ!」
攻防虚しく、距離を詰められ袋に詰め込まれた我らの戦利品。
……コミケの同人誌が見つかってしまった。
人に、特に身内には見せられない様な品々に、友はどうしようと顔を青ざめこちらを見る。
その目はどうにかしてくれと言っていた。だが私にはどうしようも出来なかった。
何か言ったほうが良いか? 擁護したほうが良いか?
声を出そうと彼女の方を向く。
だが何かがオカシイ。我らは二人揃って彼女の様子が変わっていく所を眺めていた。
最初は呆然と同人誌を手に取り、そこから次第に体が震え、顔に笑みが宿る。
そしてこちらを向き直り、衝撃の一言を発した。
「これ! 私のサークルの作品じゃん!!!」
「「………………は?」」
「「はあああああああああ!!!!!」」
俺達はただただ叫ぶ。
誰もが予想できなかったこの事態に、俺達は叫ぶことで意識が飛ぶのを回避していた。
だが彼女は俺達の叫ぶ様子を無視し、その豊満な胸を思いっきり友に押し当てた!
「え、まじ!? お前私の同人誌読んでるの!? いやあまじか! え? どうだったよ今回! と言うか時間ギリギリだったから数少なかったけどよく買えたね! 今回はこのキャラに拘っていてさあ! やっぱり私的にはこのCPのこの会話をモデルに書くのが良いと言ったんだけど友達が」
「止めて……止めて…………姉ちゃん」
その後、私もたっぷり彼女の話につきあわされ、結局この同人誌は押し入れの奥深くへ封印する事となった。
友は別れる前にボソリと、泣きそうな声でこう呟いた。
「もう……そういう目で…、見れないや」
この日、友は社会的に死んだ。
姉には絶対に、逆らえなくなったのだった。
これで本作は終わりである。
しかしこの作品のジャンルはエッセイ・ノンフィクション。
ノンフィクションではあるがここでエッセイ要素も入れないとジャンル詐欺になるかもしれない。
エッセイとは、実体験や人から聞いた話等をもとに、自分の思いや考えを文章にしたもの。
そのため、最後にこの事件における私の思いを、書き足しておきたい。
正直友達が羨ましいよおおおおおお!!!!
あんな美人の姉ちゃんが!? オタク趣味に理解があって!!!! 胸が触れるぐらい距離が近いんだぜ!!!!!
しかも義理ってなんだよ義理って!!!!
お前そんな………良いなあ!!!!
あのクソ野郎羨まじいいいいい!!!!!
と言うかなんで義理の姉が家に住んでるんだ!!!
詳しい事情行こうとしたらなんか複雑な事情があるって教えてくれなかったたんだよおおおおお!!!
もやもやするううう!!!!
【追記】
最後の、詳しい事情行こうとしたらの部分は、詳しい事情聞こうとしたらの誤字です。
つい怒りで誤字してしまいました。
これは当時の私の気持ちを表している誤字だと思ったのでそのままにしています。ご了承ください。
実際にあった、我が友の悲劇 テマキズシ @temakizushi
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