聴け、顧みられるぬ石霊よ
カイナ_(:3 」∠)_
雑多の石霊達
第1話 セキレイとは
こんなにも離れているのに、肌を焼くように熱い。それに首周りは濡れて髪もびしょびしょ。
それでも、鋼が形を変え、生まれ変わる。その鍛造から目を離すことはなかった。
父は大石霊の鍛治師だ。僕たち鍛治士は鉱物に宿る石霊と通じ合い、鉱物を高める。
この石霊によって高められた道具は、通常の道具よりも硬く頑丈で、時に不思議な魔法の力が宿り、戦いを生業とする人達にとって非常に人気なのである。
大石霊とは、どういう意味なのか?
それは石霊にも差があり、純度の低い銅などに宿る石霊は半人前の鍛治見習いでも扱うことができる。
しかし、火鉄と言われるような魔鉱物の石霊は、下手な鍛治士が鍛造しようものなら、たちまち火達磨にしてしまう。そういう危険度の高い石霊を大石霊と呼ぶのだ。
そして、そんな大石霊を扱えることのできる鍛治師を大石霊の鍛治師と呼ぶのだ。
父は僕ら兄弟によく言い聞かせていた。
「大石霊も精霊と変わらず、精霊の加護があるからこそ石霊を扱える。精霊への感謝を忘れてはいけない」
僕は今日も精霊像へ祈る。
「精霊の<加護>をください」と
僕は4人兄弟の末っ子として生まれた。
生まれた時から、鍛治の父がいるから常に金属に触れてきたし、火金を使った名剣と言われる黄金の剣を作るのも見たこともある。
6歳の頃からだったか、僕たち兄弟はその年齢になると槌を持って銅の叩き方と石霊の扱い方を教わった。
初めて見る銅はいつものと違って青緑で驚いたのを今も覚えている、まだ純粋な銅になる前で、銅鉱石をまずは純粋な銅にしなければいけないということだった。
「父さん、石霊はどこにいるの?」
金茶色の綺麗な銅ができても石霊を扱うというのがどういうことなのか分からなかった僕は父に聞いた。
「叩けば分かる。石霊がどうなりたいか、どんな形が良いか。彼らは俺たちのすぐそばにいる」
目の前の銅を睨んでも何も見えない。
どういうことか分からないけれど叩いてみることにした。
カーン カーン カーン
叩く内に頭に声が響いた。
『私はメリケンサックになりたい』
聴け、顧みられるぬ石霊よ カイナ_(:3 」∠)_ @muscle_head_power
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