第11話 いざ! 肝試しならぬ現場検証

 とっさの機転で金魚を救ったり、絵が消えた謎を簡単に解いてしまった彼なら、何かこのウワサでも気づいてくれることがあるかも……。

 そう思って明くんも誘おうとしたけど、放課後になると明くんはすぐに帰ってしまって、機会を逃した。

 そんなわけで結局、あたし、ノノカちゃん、モモカちゃん、大里くん、中村くん、小森くんの六人で魔女の水たまり探しをすることになった。

 ノノカちゃんの案内で問題の場所まで向かったけど、うーん、本当に今日はあっつい……!

 じりじりと太陽が照らしてきて、歩いているだけで全身に汗がにじんでくる。

「ここだよ」

「……何もない道みたいだけど……」

 案内された場所であたしたちは周りを見回す。

 どちらかといえば拓けているし、アスファルトでキレイに舗装されてるし、それにまだ太陽も元気な時間帯だから、正直、肝試し要素がゼロだ。

 まああたしは肝試しに来たというより、真相をつかみに来ただけだから、それでもぜんぜんいいんだけどね?

「水たまりなんてなくね?」

「魔女ってどんなヤツなんだろ」

 キョロキョロ見回しながらみんな並んで道を歩く。

 それにしても拓けているせいで太陽を遮ってくれるものもなくて、ますます暑い……。

 みんなと「アイス食べたいね」なんてのんきに話していたときだった。

 前方に、ゆらゆらと揺らめく水たまりが見えた。

「あれ……!」

 駆け寄ってみるけど――本当だ! いくら近づいても、水たまりにたどり着けない。

 水たまりの近くに着いたと思ったら、そこの道路はカラカラで濡れていた気配すらない。

 そしてその先でまた水面がゆらゆらしている。

 まるで水たまりがあたしたちから逃げているみたい。

「何だよ、どんだけ追いかければいいんだよ……っ」

「暑いのにかんべんして……ひからびる~」

 大里くんがぜぇぜぇ息を切らして、小森くんもぐったりしてる。中村くんはメガネを外して手で顔をあおいだけど、この暑さじゃあまり意味はなさそうだった。

 走り慣れてないモモカちゃんも疲れてるし、まだ元気なのはノノカちゃんくらいか。

 かくいうあたしもだいぶ汗がやばいんだけど……。

 そういえばノノカちゃんの怖い話って続きがあったよね。

 たしか水たまりは罠で……。

「こらー!」

「「「⁉」」」

 ウワサをすれば⁉(思っただけで、してないけど!)

 後ろから聞こえたしわがれたおばあちゃんの声にあたしたちは飛び上がった。

 振り返ると、一人のおばあちゃんが柄杓を持って立っていた。

 あたしたちを怖い顔でにらんでる。

 特に見られているのは――モモカちゃん……⁉

「やばい! 魔女だ! 逃げろ!」

 大里くんの声で、ハッと我に返ったあたしたちはあわてて逃げ出した。

 おばあちゃんは何かさけんでるけど、何を言ってるかまではよくわからない。

 走って、走って。

 息を切らしながら、追ってきていないか後ろを確認したあたしは……息を飲んだ。

 ――おばあちゃんの後ろからもう一人、出てきたその人は……明くんだ!

 遠目だけどわかる、あの姿は明くんだった。

 どうして明くんが一緒にいるの?

 明くんと魔女は、知り合いだったの?

 それとも魔女の仲間……なの⁉


 明くんメモ:

 明くんは魔女と関係がある……⁉

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