【空港お仕事短編小説】ボーダーライン・ファルコン　～孤独な空港の鷹匠～（約14,000字）

　航空整備士の夢に二度破れた蒼井翔。

　彼が最後に辿り着いたのは、空港のバードパトロール隊という「鳥追い」の仕事だった。そこで出会ったのは、一羽のハヤブサを相棒とする孤高の女性鷹匠・風間玲。彼女は全国を渡り歩き、人間と野生動物の「境界線」を守り続ける現代の巫女のような存在だった。

　最初は玲の冷たい態度に戸惑う翔だったが、彼女の仕事への情熱と深い使命感に触れるうち、自分も本当の意味で空を守りたいと願うようになる。挫折の痛みを知る翔だからこそ見えるデータの世界と、長年の経験に裏打ちされた玲の直感。二人の異なる視点が融合した時、革新的なバードストライク予測システムが誕生する。

　しかし、玲は渡り鳥。いつか別の空へと飛び立っていく運命にある。

　翔は彼女に追いつけるのか？　

　ハヤブサ…続きを読む