第13話:第三層・死の文化祭と君の笑顔

扉を抜けると、そこは――“文化祭の真っ只中”だった。

でもそれは、レイたちが通っていた高校の文化祭を模した【悪夢の再現世界】。


「ここ……懐かしいはずなのに、息苦しい」


ユナが呟く。

空は灰色で、笑い声はどこか歪(いびつ)。

生徒たちは仮面を被り、同じセリフを繰り返している。


「“文化祭を楽しもう”って、命令されてるみたいだな」


レイの隣で、男がそう言った。

それは、二人の新しい仲間――



◆新キャラ①:黒神 カイ(くろがみ・かい)


・異能力:『虚無刻印(ゼロコード)』

 →自分に触れた“能力”を、一度だけ「打ち消す」印を刻み、無効化できる。

 →ただし一度使用した能力は「刻印」に吸収され、二度と使えなくなる。


「能力ってのはさ、命削ってんだ。だからこそ、使いどころがあるんだよ」


無口で無愛想だが、誰よりも冷静に戦局を読む戦略家。



◆新キャラ②:桐野 ハナ(きりの・はな)


・異能力:『感情演奏(エモ・スコア)』

 →自分の“楽器演奏”とリンクさせた感情を増幅・操作する。

 →味方の「恐怖」や「不安」を「勇気」や「集中」に変換できる。

 →暴走のリスクあり。


「みんなの鼓動が聞こえるんだ。だから、私は“音”で応える」


元・吹奏楽部。明るくポジティブだが、過去に自殺未遂を起こした過去を持つ。



「第三層を抜けるには、“この文化祭で一番にならなきゃいけない”ってルールらしい」


「でも、生徒全員がプレイヤーを潰しにくるってわけか。

 要するに、クソゲーだな」


仮面の生徒たちがナイフを手にし、襲いかかる。


レイの拳が一人を吹き飛ばすが、数は減らない。


「私がいくね!」


ハナのバイオリンが鳴った瞬間、空気が変わった。

恐怖に震えていた仲間の動きが鋭くなる。

“音”が感情を勇気に変えたのだ。


「レイくん、今のうちに!」


「カイ、頼む!」


カイは静かに呟いた。


「“無効:操られた行動”──虚無刻印、起動」


彼の手が仮面の生徒に触れた瞬間、その仮面が砕け、我に返る。


(……一人ずつ、“正気”を取り戻していけば……)


だが。


「残念。無駄だよ、レイ」


現れたのは、“あの頃のクラスメイト”で、唯一、レイに“勝ち続けた”男。



◆敵キャラ:芹沢 トウマ(せりざわ・とうま)


・異能力:『言霊操作(スピーチ・リライト)』

 →自分が発した“言葉”を、物理・精神・因果に反映させられる。

 →ただし、真実しか言えず、ウソや誇張は“跳ね返る”。


「俺が“お前を圧倒する”って言えば、その通りになる。

 だって俺とお前の実力差は……“本当”だからな?」


その言葉と同時に、レイは吹き飛ばされた。


「この文化祭、主役は俺なんだよ。いつだってそうだった。

 お前みたいな、どこにでもいる脇役とは違う」


(くそ……またこいつに……!)


「……泣かないで、レイ」


アリアが囁いた。


「あなたは、もう“誰かの後ろ”じゃない」


アリアの手がレイの頬に触れる。

その瞬間、光がレイの拳を包んだ。


「見せてよ、レイくん」


ハナが演奏を強める。


「これが、“今”の俺たちの力だッ!!」


次回、レイ vs トウマ、文化祭最終決戦!



🔔次回予告


第14話「主役交代」

かつての劣等生が、最強の言霊使いに挑む。

もう、誰かの影じゃない――レイの“反撃”が始まる。

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