目薬の苦さよ夏の気まずさよ私はきみの栞になれる

森山文結

短歌

目薬の苦さよ夏の気まずさよ私はきみの栞になれる


すこし春 動脈たどれば会えるってうたう臓器を抱えて歩く


目の端にアザレアがある あなたって背中に羽が生えてたんだね


今までにおまえが塗った頭痛薬より効くでしょと私を撫でる


届かないうちは蛍の水はただ光であった(光であった)


夏の日の折れた栞を直しつつ ぼくらに同じ記憶をくれよ


ひんやりと電車のドアにもたれればこれは香水のにおい うまれた

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目薬の苦さよ夏の気まずさよ私はきみの栞になれる 森山文結 @fy_l2m

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