怪異奇談

深夜 幻夢

序章 怪異の始まり




変なんだ……。


朝、目が覚めると、そこは、まるで別世界のようだった。


最初の異変は、目覚まし時計。


朝の目覚めが悪い僕は、毎晩、目覚まし時計を6時にセットする。


何時もと同じように、そうやって、僕は眠りについた。



ー朝。


激しく鳴り響く目覚まし時計の音に、僕は、布団から手だけを伸ばして、目覚まし時計のベルを止めようとした。


グニャリ…。


変な感触に、僕は、一度、手を布団の中に戻した。


『……何だ?今のは…?』


気持ち悪い感触が手に残っていた。


いや、気の所為だ。


きっと、まだ頭の中が目覚めていないんだ。


僕は、もう一度、目覚まし時計に手を伸ばした。


グニャリ…。


気の所為じゃない。


その時……


「いてぇーな…。寝惚けてないで起きろよ。」


低い男の声に、僕は、飛び起きると、目覚まし時計を見た。




目覚まし時計には、顔があった。


丸い形の目覚まし時計の真ん中。


見知らぬ男の顔があった。


僕は、震える目で、目覚まし時計を見つめる。




「何、見てんだよ。」




僕は、パジャマ姿のまま部屋を飛び出し、一階へと階段を駆け下りる。

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