エピローグ1


男を探すことを私は諦めた。

後は、ひたすら息子がこちらに帰って来るのを私は待つことにした。

隣には飲んだくれの物知りの同僚が居てべろべろに酔っぱらっている。


「鼎―? で? 見つかったのかー?」


「息子だけな、男は見つからなかった。」


「まさかお前が子持ちになるとはやるぅ!」


文香は鼎の背中をバシバシ叩いた。


「………。」


「暗いぞ鼎! その雰囲気何とかしろ!」


「………。」


「元気出そうぜ、子供だけでも見つかったんだから!」


「そうじゃない、もっとも誰にもこの忌まわしい気持ちはわからない。」


因幡の紫のウサギは後ろから鼎を見ていてニヤニヤと笑っていた。




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