第17話 配属(訓練所の門出)
ダリルはフィリアをチームとして配属することに不服だったようだ。
ダリル「………」
ダリルは、無言でフィリアと共に魔術治安局基地の廊下を歩いていた。
沈黙に耐えかねたフィリアはダリルに質問する。
フィリア「何故そこまでホムンクルスを嫌うのですか?」
ダリル「……何のつもりだ?」
ダリルは不機嫌そうに答える。
フィリア「貴方は魔術協会評議員の講演会の時も私に侮蔑を込めて、罵りましたよね?」
フィリアの声には若干の怯えと怒りがあった。
ダリル「あ〜〜、」
ダリルが思い出したように、声をあげる。
フィリア「何故あの時、私に侮蔑の言葉を投げたのですか?」
フィリアはダリルに疑問を投げかける。
ダリル「ホムンクルスなんて、人間の居場所を喰う害虫だ。お前らのせいで治安は悪化し俺等の仕事が、増えたからな。」
フィリアに喧嘩を売るように答える。
フィリア「それは違います。ホムンクルスのおかげで治安はむしろ良くなって、仕事だって前より楽になってるはずです」
フィリアは淡々と事実を告げダリルに問いただす。
ダリル「さ〜な… 他にどんな理由があると思う?」
ダリルは軽口を叩くが、その目には怒りが宿っていた。
フィリアはそれを察したのか、それ以上は何も聞かなかった。
なぜなら、その目の奥に、言葉以上の痛みを見てしまったからだ。
二人は歩きながら、外の広間についた。
剥き出しの魔力が床を焼き、血の滲んだ訓練用の人形が積まれている。ここは、人間の限界を超える者たちの競技場だった。
その競技場は戦士達の肉体美を競う見世物のようだった――それほど、この訓練所にいる者たちは“戦い”の化身だった。
ダリル「ここだ。」
フィリア「ここは?」
フィリアは疑問をぶつけた。
ダリル「ここは訓練所だ。仮にもお前は魔術治安局の道具として、生かされる権利を得た。お前が現場でどの程度、役に立つか試させてもらう。」
ダリルがフィリアに挑発するようなことを言う。
?「ダリル巡査長!!」
男の声が聞こえると同時に、屈強な肉体をした男女達がダリルの元へ、走り出す。
ダリル「どうした。ユリウス?」
声を発した主はユリウスと言うらしい、短めのサイドを刈り上げた銀髪、鋭い目つき、鍛え上げられた肉体、歴戦の戦いを経験した軍人のようだった。
ユリウス「新人が入ったので、紹介させていただければと」
誠実な言葉遣いでダリルに伝える。
ダリル「分かった。」
ユリウスが指示を出し、男女達が前に出る。
バルド「バルド・ルーシェと申します!」
バルドと名乗る男は癖毛の栗色髪、サイド刈り上げた男がいた。
セリア「セリア・グラントと申します!」
セリアと名乗る女は紫の瞳にバイオレットいろの髪色を備えた美しい美女だった。
フィン「フィン・ラッカと申します!」
パーマのような、ぼさぼさな茶髪に糸目のような細い目の男だ。
アメリア「アメリア・ゼンバーグと申します!」
黒いストレートのショートカットにナイフのような美しい鋭い蒼目を美女だった。
ダリル「君があのゼンバーグ視長の娘さんか!」
ダリルは、喜んだように声を上げた。
アメリア「はい……」
アメリアの表情は少し曇り、複雑な表情をしながら、ダリルに答えていた。
紹介された男女全員スタイルが良く、屈強な肉体を備えていた。
ユリウス「これで全員です。」
ユリウスがダリルに伝える。
ダリル「そうか……殆ど新人か……」
ダリルの顔に若干の曇りがあった。
ユリウス「はい……マティアスとの戦いで多くの隊員達が殉死してしまいました……」
二人から重い空気が流れる。
ダリル「そうだな…ま〜すぎたことは忘れよう」
そう語ったダリルだが、顔には悲哀の色が浮かんでいた。
ダリル「これが例のホムンクルスだ。」
ダリルがフィリアを指さす。
ユリウス「このホムンクルスがマティアスを仕留めたという……!」
ユリウスが驚愕の表情でフィリアを見る。
ダリル「ああ… このホムンクルスは戦闘型に作られたわけではないから、体術等の技術を習得させようと思ってな。」
ダリルが部下たちに説明する。
フィン「俺フィンって言います!宜しく!」
フィンがフィリアの目の前まで来て握手を求めていた。
フィリアは初対面で距離が近く若干引いていた。
バルド「俺はバルドって言う、宜しくな!こんな可愛い子ちゃんがいるなんて最高かよ!」
バルドは軽口を叩きながら、自己紹介する。
ユリウス「おい!!お前ら!!」
フィンとバルドが勢いよく前に出るのをユリウスが制していた。
その様子をアメリアとセリアが冷めた様子で見ていた。
ダリル「さて、ユリウスこのホムンクルスと一試合しろ、肉体戦の後に魔術戦だ。とりあえず実力を見たい」
ダリルはユリウスに命令する。
ユリウス「了解です!」
フィリアが戦闘着のような姿に着替え、ユリウスと相対する。
厭世の国の人形たち @mohumohudazo
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