第16話 人形の選択


マティアスの事件が終わり、魔術治安局はマティアスの遺体の回収、そしてフィリアの扱いに困っていた。


魔術治安局の会議室で、議論が繰り広げられていた。


?「ん〜〜、マティアスの脅威を跳ね除けとはいへ、あのホムンクルスは闇の魔術の儀式に、使われた存在…… 廃棄処分したほうが良いのでのでは?」


?「いや、それはもったいない、あの人形には特殊な能力が備わっている。それは我々にとって武器になる。」



?「感情を持ったホムンクルスだぞ、感情を持ったホムンクルスの暴走はスラム街や中央都市でも頻発している。危険だ!」


?「感情を持つからこそ危険? 感情があるからこそ、話せるんじゃないのか?」


議論は白熱していた。


その会議室にはダリルとその部下達がいた。


?「お主らは、その現場におったのだろう、お主らの意見も聞きたい。」


ダリル「あの戦場であの人形は的確な支持を我々に出し、戦況を変化させ、マティアスの暴走を止めました。

そう言った意味では利用価値はあるのではないかと思います。」


?「んー……… 例のホムンクルスをここに連れてこい」


拘束魔術でフィリアは縛られながら会議室に入っていた。


?「貴様には感情があるホムンクルスであり、闇の魔術の儀式に使われた危険なホムンクルスだ。

だが、儀式の力で特殊な力を手に入れ、その力で隊を窮地から救い、あの稀代の闇の魔術師マティアス・クロウを討ち取った。

これは名誉勲章にも匹敵する働きだ。お前はどうしたい?」


魔術治安局の権力者達がフィリアに疑問を投げる


フィリアは一瞬だけ俯いた。自分が“人形”として見られていることが、痛いほど伝わってくる。 それでも、しぼり出すように声を出した。

フィリア「私は……生きたいです。」


?「良かろう、ただ、条件がある。我々の道具になること、ホムンクルスの暴走、闇の魔術師の起こす事件の捜査や戦闘への協力、これが条件だ。」


権力者達は淡々と告げる。



フィリア「分かりました。」


フィリアは生きる権利を手に入れた。


その翌日フィリアは拘束を解かれ、魔術治安局の施設を隊員達に案内されていた。そして、局長の前にフィリアは案内された。

局長は少し小太りの40代後半の男性だった。


局長「あ〜例のホムンクルスか、ダリルを呼んでこい」


隊員は急いで、ダリルを探しその場に連れてきた



ダリルが駆けつけてきた。


ダリル「どうされましたか。局長」


ダリルは軽い疑問を局長にぶつける。


局長「今日からお前のチームにこのホムンクルス、フィリアを配属する。」


局長は淡々と告げる。


ダリル「なっ………!!!!」


ダリルは驚愕の顔をしていた。


ダリル「何を言ってるんですか!!!!局長!!!何故俺が人形の世話なんてしなくてはならないのですか!!!!!」


ダリルは激昂していた。


局長「あの事件の報告書を見た上の判断だ。あのホムンクルスとお前達の戦闘の際の連携は相性が良いと判断された。

それとお前はホムンクルスの暴走を主に担当している。ホムンクルスの特性は熟知しているだろ。」


局長はダリルに告げていた。


ダリル「そんな理由で!!!」


ダリルは局長に抗議していた。


局長「それにお前何故あの会議の場で、あのホムンクルスの有用性について語った?

そんなに嫌なら危険因子として、処分を提案するべきだっただろう。」


ダリルは一瞬黙り込む。


ダリル「あっ…あれは事件の状況を客観的に見て、伝えただけです。」


ダリルは言い訳をするように答えた。


局長「ま〜これも上からの命令だ。黙って従え。」


局長は力を抜いたような声でダリルに伝える。


ダリル「だからって、そんな!!!」  


ダリルは抗議していた。


局長「いい加減にしろ!!この命令が聞くのが嫌ならとっとと昇進しろ!!それが嫌ならお前は首だ!!!」


ダリルは俯き、フィリアに視線を向けた。その表情は敵意そのものだった。


フィリアは内心この先どうなるのか心配だった。


こうしてフィリアの新しい日常が始まった。




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