第5話 宝箱

あ、どうも。木島です。


「まさかこっちでも鑑定が使えるとは...滅茶苦茶便利だな」


帰ってきて鑑定を試したが、こっちでも問題なく使う事が出来た。となれば...身体強化とかもこっちで使えるって事か?増々...あのダンジョンを攻略したい気持ちが...だが焦るな、死んでは元も子もない。


因みに...鑑定した奴はこんな感じで表示される。


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木材の机・・・木材で出来た机。レア度1

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レア度は現実の物にもあるみたいだ。

この辺りの物は大体鑑定を行ったが、大体がレア度1で、詳細もそこまで詳しく教えてくれるわけでは無かった。


「宝くじとかで一攫千金を夢見たが...全然無理だったな」


まぁ、それはそこまで期待してなかったが。それよりも触媒について新しい事が分かった。


「まさか...宝石とかが触媒になるとはなぁ...」


勿論高価すぎて使えはしないのだが、現実世界にも触媒になりえる物があった訳だ。大きな発見ではある。問題は高価ってところだが...。


さてと...日課のランニングでもしますかね...。



「おはようさん」


この人は近所のおばさん。なにかと良くしてもらって、偶に自家栽培した野菜をくれる心優しいババアである。ただなぜかいつもぶっきらぼうと言うか、冷たい印象を感じるのが偶に傷。いや、本当にただの聖人なんだけどさ。


「おはようございます、今日は病院に?」


このばあさんが病院に罹っている訳では無いが、この人の旦那さんが入院している為、よく病院に行くところを目撃している。


(鑑定)


そう言えば...人に対して鑑定を使っていなかったんだよな...少し心苦しいが、試させて貰おう。


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田村さち子 レベル1 88歳 状態・・・膵臓ガン(初期)

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って、すい臓がん!?確かヤバい奴だよな...。と言うより、人間に鑑定を使うと色々な事が表示されるんだな...。


「ばあさん最近疲れたりしてない?今日病院に行くなら検査してもらった方が良いよ...最近膵臓ガンとか多いらしいし」


「ガンねぇ。年齢的にもすぐ死ぬ老いぼれだよ」


「旦那さん遺して行くのも可哀そうだろ?」


「そんなに言うなら検査位するかね...」


初期状態ならまだ間に合うだろう。にしても...凄い能力だな...。有効活用できれば...金稼ぎやらなんやら出来るぞ...。



あれから俺の世界はめっきりと変わってしまった。

鑑定の凄さ...それを身に染みて感じたのだ。


「というか...まさか触媒がこんなに溢れているとは...」


河川に転がっている石類に鑑定をしまくって居たら、触媒になりえる石が割とあった。

これで魔法を使う事が出来そうだ。


「にしても...鑑定ばっか使うのも良くないのかも知れないな」


特に人に対してはなぁ...。プライバシーの問題と言う点でな...。


「明日にでもまたダンジョンに潜るか」


次なる敵は一体何が来るか。あれから筋トレもランニングも欠かしては居ない。勿論反復横跳びもしている。周囲の目線も気にならなくなった。


「この石は持って行こう。魔法を使う時に役に立つ」


触媒の効果がある石は使う事に成りそうだ。明日は様子見だな。初見で勝とうなんて思わずに、慎重に行こう。


「ちくわだけ食べて寝るか」


明日に備えて今日は寝よう。



「久しぶりだなダンジョン」


あれから特に変わった様子もない。先に進めば新しいモンスターかスライムが居る。スライムならば必勝法がある為楽ではある。


「行くか」


先に続く暗い通路。仄かに煌めく光はダンジョンの壁に含まれる何かの鉱石だろうか。次からはもっと照らせる光源でもあれば便利かも知れないな。


慎重に洞窟を進んで行く。もしかしたら壁から何かが飛び出してくる可能性もある。慎重に行くに越したことは無いだろう。


...........................ってあれ宝箱!?


「うおぉ!!ダンジョンって言えば財宝とかだよな!?」


暫く進んだところに小さいスペースがあり、そこに宝箱らしいものが設置されていた。


強い武器、万病を癒す薬...エトセトラ...。それらが手に入る可能性がある宝箱では無いか!!


「いや、まて。罠の可能性は無いか?宝箱開けた瞬間に弓が出て来るとか洒落にならんぞ」


だが...俺の好奇心があらゆる危険を顧みても...あの宝箱は開けるべきだと語り掛けてくる。

そうだ、俺は何のためにこのダンジョンに潜っている?強くなりたいからか?金が欲しいからか?いいや違う...このワクワク感を満たしたいからだろ?

.........いや、ほんとは強くなりたいし金が欲しいけどさ。


「そろーり...そろーり」


宝箱に忍び足で近づく。あたりを見渡して危険が無いかだけ気を付けておく。

今のところ罠だとかそう言ったものは感じない。だが、油断は禁物だ。


「近くまで来たが...特に変な物は無さそうだな」


というより、機械音性に聞けばいいのでは?


ダンジョンんオ宝箱には罠だとかそう言ったものはあるか?


””あります。例えば宝箱を開けた時に毒ガスが噴射される物などがあります。また、ミミックと言う宝箱に擬態するモンスターも居ます””


ほう...。なら鑑定でこの宝箱を見れば良いって訳か。


(鑑定)


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普通の宝箱・・・ダンジョンにランダムで生成される宝箱。中身は宝箱のグレードによって変化するが、グレードの低い宝箱にも極まれに高レアのアイテムが入っている事もある。

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罠でもミミックでも無さそうだな。ならば開けても良さそうか?


恐る恐ると言った感じで宝箱に手を伸ばす。触った感じは普通の...特に変な感じはしない。


ガチャ...


「普通に開いたな...って何だこれ」


宝箱は予想に反してすんなりと開いた。中に入っていた物は...本?いや巻物みたいな物だ。


「もしかして...スクロールって奴か?」


RPGなどで魔法を使う事が出来る巻物...それに見える。


(鑑定)


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ヒールのスクロール・・・初級回復魔法ヒールを覚えることが出来る。必要知力30。レア度3

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うお!!回復魔法はデカいな。だが、必要知力がまだ足りていない。もしかして...俺今から勉強する必要あるって事...?うそん...。


宝箱はランダムか。もしかしたらこんな序盤で手に入ったのは相当運が良かったのかも知れない。

...今日は既に大収穫だな。


先に進もう。このワクワク感...俺を愉しませてくれ!

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ちくわの中を覗いたらダンジョンだった 鮭のおにぎり、しゃにぎり @netorarebokumetu

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