釣りに関するヒトコワネタ 10個 ①

@saikokuya

釣りに関するヒトコワネタ 10個 ①

釣りに関するヒトコワネタ 10個 ①


藪を抜けた奥の岩場に、紙がジップロックで貼られていた。

日付、魚種、サイズ、天候、エサ、詳細なメモ――そして「〇月〇日・今日も成功。あと3匹で終わる」と手書きで。

翌週また来ると、1匹増えていた。



人の来ない石積みに、妙に新しいクーラーボックス。開けるとルアーがびっしり…かと思いきや、奥に歯型のついた入れ歯と、異常にリアルな義手パーツが。



誰も来ないはずのポイントに「ご自由にお使いください」とメモ帳。

中には釣果ではなく、「今日は3人歩いていた。1人はこちらを見たが無視された」などの"観察記録"が数年分びっしりと。



藪を抜けた先で釣っていた男に道を聞くと、「ここは初めてです?」とニコニコ。

でもその男、目を離すといつの間にか後ろにいて、同じセリフをまた言う。

5回目でようやく気づく。足跡がひとつもない。



釣っていたら、ドローンがブーンと飛んできた。カメラがこちらを凝視。

逃げても逃げても追ってくる。

最終的に、ドローンが落ちた場所には名刺サイズのカード。「次回の撮影もご協力を」とだけ書いてあった。



出会った釣り人。半袖で、首にバンドエイドがずらっと貼られていた。

「虫がすごくてね」と笑うが、バンドエイドの下から見えてるのは…何か縫われたような縫合跡。



川を見ていたら、空のペットボトルがぷかぷかと。中に紙切れ。

「この辺り、来ない方がいいです。見張られてます」。

でもその紙の筆跡、今朝自分が書いた釣果メモとまったく同じ。



藪の中に倒木があり、そこに釣り竿が5~6本突き刺さっていた。

糸の先は川ではなく、すべて“森の奥”に向かって伸びている。

その竿はどれも、最新型じゃなく10年以上前のモデルばかり。



何度も藪を抜けて同じ釣り人に遭遇。笑顔で手を振ってくれる。

感じの良い人だなと思い、遠くからスマホで写真を撮る。

後で見返すと、その人物だけがいない。背後の木々だけ。



誰も行けないような岩場に、小さなGPSタグ。

釣り人がうっかり落としたのかと思いきや、裏に日付と「対象No.7」と印字。

川下を戻る途中、同じタグをもう2つ見つけた。対象No.6とNo.5。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

釣りに関するヒトコワネタ 10個 ① @saikokuya @saikokuya

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ