第2話

 言葉が通じないから、少年は私に攻撃的だった。気絶させたことにも、おぶられることにも腹が立って仕方がないようだった。道中、何度も四肢を切られた。

 きっと、私の友だったら敵対しなかっただろう。少年の言葉にもあの大きな耳を傾けたに違いない。聡明な友だった。

 だが、ここに友はいない。

 じゃあ私が言葉を知るしかないだろう。


 そしてお察しの通り、私は自らの考えをあなたに継承出来るようになり、これを記した。

 感謝されない善行をありがた迷惑と知ったのは、少年を故郷に運んだずいぶん後である。


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